商業施設新聞
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No.448

いのちのたび博物館


松山 悟

2014/3/11

いのちのたび博物館
いのちのたび博物館
 北九州市八幡東区の東田地区は官営八幡製鉄所の構内だった場所で、区画整理事業で新しい街に生まれ変わった。テーマパーク「スペースワールド」があり、隣接して「イオンモール八幡東」、そして今回紹介する「いのちのたび博物館」がある。ちなみに正式名称は「北九州市立自然史・歴史博物館」という。

 開館したのは2002年11月で、すでに12年が経過しているが、年間30万人の来館者がコンスタントにある。13年3月には開館10周年を記念して、約3億円をかけてパワーアップを図り、リニューアルオープンしている。12年に大手旅行口コミサイトが発表した「行ってよかった博物館ランキング」で2位を獲得。ちなみに1位が広島平和記念資料館(広島市)で、東京国立博物館(東京都)は5位である。

威圧感最高の恐竜たち
威圧感最高の恐竜たち
 人気の秘密は、一般的には恐竜の全身骨格標本として知られているアメリカ・ニューメキシコ州で発掘された化石を基にして復元されたという全長35mのセイスモサウルス、世界最大の翼竜と言われるケツァルコアトルス、ティラノサウルスのスタン、スーのレプリカ。日本の博物館でスーのレプリカが観られるのはここだけだという。ほかにも南極で発掘されたクリオロフォサウルス、定番のディメトロドン、アロサウルスなどが紹介されていて、少年や少年の心を持つ大人たちの眼を輝かせる。

マメンチサウルスの恐竜ロボット
マメンチサウルスの恐竜ロボット
 案外知られてないのは「エンバイラマ館」のジオラマだ。入り口は洞窟となっており、一歩足を踏み入れただけで胸がドキドキし、コンピュータグラフィックスで古代魚が泳ぐ姿やイグアノドンの巣、中生代の昆虫ロボットが棲む森などを見ながら歩いて行くと、急に視界が広がる。そこが中生代・白亜紀を再現した360度体感型のジオラマだ。このジオラマには、マメンチサウルスやディロングなどの恐竜ロボットが動いており、マメンチサウルスと眼が合うと逃げ出したくなる。そして遠くで火山が噴火し、世界が変わっていく姿を全身で体験する。

 何度も通って恐竜はもういいやと思う人は、新生代の古生物展示、現生生物の剥製、昆虫、蝶などの標本もあり、全体で約6000点を常設展示している。これだけの量、質を伴う展示物の収集は、一朝一夕ではできない。バックヤードスタッフの苦労がうかがい知れる。入場料金は大人500円、写真撮影は一部を除いてOKである。素晴らしいコストパフォーマンスだ。

 商業施設も「いのちのたび博物館」のように、ワクワクドキドキする空間にできないものだろうか。
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