商業施設新聞
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No.1005

関東でうどん戦争勃発


笹倉聖一

2025/5/13

 九州や関西などの西日本で人気と思われがちのうどん外食店が、今や関東市場へ次々と押し寄せている。力の源HD(福岡市中央区)は博多うどんの「因幡うどん」を4月21日に東京・原宿で出店、すかいらーくHD(東京都武蔵野市)は北九州市発祥の人気うどんチェーン「資さんうどん」を2024年10月に子会社化し、25年2月に東京・両国店を開店するなど、福岡うどん勢が首都圏で増加中だ。

 博多ラーメン一風堂を展開する力の源HDは4月21日、東京・原宿で「因幡うどん ハラカド店」を出店した。因幡うどんは、麺が太くつるつるして柔らかく、中心部には適度なコシの強さを感じる食感。出汁には羅臼昆布と数種類の煮干しをふんだんに使い、「だしを食べる」と表現するほどにだしを大切にしているとの説明だった。醤油ではなく、昆布だしを味わうのは久しぶりで、西日本の食文化を感じた。「ごぼう天うどん」が定番の人気商品ということで、「肉ごぼ天うどんが人気のすかいらーくHDの資さんうどんと同様か」と店員に尋ねると、ごぼうの切り方や形が異なり、差別化されているとの返事で感心した。ハラカド店は9店目となり、これまでの店はすべて福岡県内にあり、福岡県外への出店は初めて。今後は「ハラカド店の様子を見て、関東で店舗を増やしたい」((株)力の源ホールディングス 広報グループ マネージャーの桑野洋氏)という。関東での増店に注目だ。

 北九州市発祥の人気うどんチェーン「資さんうどん」は、すかいらーくホールディングスが全株を取得して24年10月に子会社化した。同年12月に千葉・八千代店で関東初出店、25年2月には東京・両国店で東京初出店、同年4月には東京・足立鹿浜店と埼玉・北鴻巣店を開店。東京・両国店へ足を運んだところ、すごい行列。一番人気の「肉ごぼ天うどん」は、ごぼうがさくさくして新鮮で実にうまい。出汁は、鯖節や昆布、椎茸などからとっているそうで黄金色。因幡うどんより甘みが強く残る味わいだ。麺は柔らかく口当たりが滑らか。1976年の創業で、北九州のソウルフードとして愛され続け、北九州市を中心に九州全7県のほか、山口、広島、岡山、兵庫、大阪、千葉、東京、埼玉で展開している。全75店(3月末時点)のうち福岡県が最多の44店。関東はまだ少ないが、今後店舗にお目にかかる機会が増えるだろう。1951年創業の因幡うどんとともに、東京で異なる福岡うどん2種類を味わえる機会が増えるのはうれしい。

うどーなつを紹介する高(●はしご高)橋海人さん(中央)と松村北斗さん(左)
うどーなつを紹介する高(●はしご高)橋海人さん(中央)と松村北斗さん(左)
 一方、都内ではトリドール傘下の丸亀製麺がすでに知られる。腰のある打ち立て・茹でたて麺が人気だ。さらにうどん生まれの「丸亀うどーなつ」は24年6月の発売以来8カ月の間に1300万食が売れる人気ぶりで、25年4月15日からは新商品「いちごみるく味」で仕掛けている。4月10日には、CMに出演するアンバサダーの高(●はしご高)橋海人さん(King & Prince)、松村北斗さん(SixTONES)が新商品とともに、(株)丸亀製麺の執行役員 営業本部長の大木辰朗氏から報道陣に紹介された。いちご味のソースが深い味わいで、もちもち食感の丸いドーナツがとてもおいしかった。関東で店を増やす2種類の福岡うどんを迎え撃つには十分な商品力だ。

 福岡うどん、讃岐うどんともに美味しいうどんおよび派生商品や店舗が紹介され、福岡と讃岐が相まみえる美味しい“うどん戦争”の行方が楽しみである。
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