商業施設新聞
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No.1008

多角化経営を進めるティーケーピー


若山智令

2025/6/3

 この春、貸し会議室事業を主力とする(株)ティーケーピーの取材を2回行った。というのも同社は主力のフレキシブルスペース事業(貸し会議室など)以外の事業を積極的に進めており、4月には宿泊施設(ホテル)、5月にはレンタルオフィスの新施設オープンがあった。既存ビジネスをベースに、多角化経営を進める同社の取り組みは非常に興味深かった。

 宿泊施設は、埼玉県羽生市にある「イオンモール羽生」内に、トレーラータイプのヴィラを配置した「レクトーレ 羽生TERRACE」を開業した。全30棟構成のヴィラは、およそ3分の1が愛犬と一緒に宿泊でき、敷地の中心には小型犬用のドッグランやドッグプールなども備えている。トレーラータイプの宿泊施設というのは近ごろ見かけるようになったが、ショッピングモールに隣接し、しかも愛犬と一緒に泊まれるというコンセプトは非常に面白いと感じた。部屋のタイプも9タイプあり、利用人数に応じて選択が可能になっていて、最大6人まで泊まれる。

 元々ティーケーピーは「アパホテル」をフランチャイズ展開していたり、ラグジュリーホテルやシティホテルの運営を行っていた。今回のレクトーレブランドも、フレキシブルスペース事業と組み合わせるなどしたセミナーホテルとしての事業展開は行っていたが、レクトーレ 羽生TERRACEはこれらとは少し異なる、新しい取り組みになったと感じている。

新生fabbitの第1号となった、fabbit渋谷
新生fabbitの第1号となった、fabbit渋谷
 また、5月には(株)システムソフトおよび(株)APAMANから会社分割により継承した、レンタルオフィスなどを手がけるfabbit事業の複合新拠点「TKP fabbit 渋谷」をオープンした。fabbit事業は国内主要都市に18拠点を有し、レンタルオフィス、コワーキングスペース、バーチャルオフィス、イベントスペースなどを手がけ、24年12月末にティーケーピーが買収した。その“新生・fabbit”第1号施設が、TKPガーデンシティ渋谷に共同出店の形で開業。渋谷はIT系を中心にオフィスニーズが高いものの足りていない状況であり、その旺盛な需要に応えたいという目的で開設した。TKP fabbit 渋谷全体は、TKPガーデンシティ渋谷(渋谷東口ビル)1、4、5、8、11階の5フロア展開で、うちfabbitは5、8階の2フロアに設けた。このビルで日常的なオフィス利用に加え、数十人~数百人規模のイベントも施設内・フロア内で完結することができ、業務とイベントを一体的に展開できる高い利便性を持つ。

 このfabbit渋谷を皮切りに、7月に「fabbit梅田」(大阪市北区)、8月には「fabbit高松」(香川県高松市)を出店予定。今後も同ブランドを広めていくために全国展開を加速させる方針だ。
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