液晶TVを一貫生産して「世界の亀山モデル」を世に送り出し、「液晶のシャープ」の繁栄を築いた立役者であった同工場は、同社の新たな武器であるIGZO液晶の生産拠点として生まれ変わりつつある。代表取締役専務執行役員、デバイスビジネスグループ担当の方志教和氏に、シャープ(株)亀山工場を中心とした液晶事業の今、そして今後について話を聞いた。
―― 亀山工場の現況を。
方志 現在、亀山第1工場は6Gラインでスマートフォン(スマホ)向けCGシリコン液晶パネルを製造している。高い稼働率で堅調に推移している。また、亀山第2工場の8Gラインでは、液晶テレビ向けに加え、中小型液晶の生産比率を高めている。2012年3月からIGZO技術を導入し、タブレット端末、ノートPC、モニターなど用途を拡大している。
IGZO液晶は既存のアモルファスTFT液晶の限界を超えた200ppi以上の高精細化と低消費電力を実現できる。加えて、タッチパネルの高性能化も可能だ。
さらに、13年11月からは、スマホ向けのIGZO液晶パネルも量産を開始した。すでに300ppiレベルの高精細を実現しているほか、400ppi級のフルHDパネルの製品化に向けて急ピッチで開発が進んでいる。トップレベルの高精細を求める傾向が強まっている中国などのスマホをターゲットに商談を進めている。今後の大きな事業の柱として育成したい。
―― 亀山第2工場の稼働率とIGZO液晶への転換の進捗について。
方志 ほぼフル稼働に近づいている。供給先を拡大して14年度以降も高水準の稼働率を維持する。IGZO液晶を中心とした中小型液晶の生産比率は1月時点では約40%で、13年度内に50%近くに高めたい。
―― IGZO液晶は歩留まりに難点があり、高コストになっているという評判が一部であったが。
方志 立ち上げ当初には困難な時期もあったが、現在では当社のアモルファスTFT液晶、CGシリコン液晶並みの高い歩留まりを実現している。他社のLTPSとのコスト競争力も十分確保できている。
(聞き手・本紙編集部)
(以下、本紙2014年2月19日号2面)