11月の3連休の最終日に、長崎県佐世保市のテーマパーク「ハウステンボス」を取材するため、長崎県に出張に行った。京都駅から博多駅まで新幹線に乗り、博多駅で、赤と緑の装飾が印象的な特急列車「ハウステンボス号」に乗り換え、4時間超という長い移動の末に、現地に到着した。駅のコインロッカーに荷物を置き、一息つく間もなく、同テーマパークの取材が始まった。
ハウステンボスは1992年に開業したテーマパークだ。開発総面積は152万m²(ホテルや駐車場などを含む)となり、テーマパーク単体でも国内最大級の敷地面積を誇る。度重なる赤字で経営が苦しくなり、03年に経営破綻に陥ったが、10年に(株)エイチ・アイ・エスと基本合意書を締結し、同社の傘下に入ったことで状況は一変。様々なイベントが催され、ユニークなアトラクションも随時導入されたことで、入場者数は11年度(11年9月期)に179万9000人を、12年度に191万8000人を記録した。13年度も233万人を見込むなど、客足は回復傾向にある。
取材スケジュールは、担当者へのインタビューを皮切りに、ハウステンボス歌劇団のステージの観覧、サウザンド・サニー号の乗船、ウルトラ庭園植物園の視察などが予定として組まれ、夜にはイルミネーションショー「光の王国」を見ることになっていた。特に、光の王国に関しては、筆者が住む関西エリアでもコマーシャルがテレビで流れていたため、「一体、どれくらいの規模で開催しているのだろうか?」と興味はあった。が、女性ならともかくとして、筆者は男性のため、キラキラと輝くものは自分の名前だけで十分と思っていた。
しかし、当日開かれたイルミネーションショーは迫力があり、見応えのあるショーであった。まず初めに光のナイトパレードが行進を行い、いったん「アートガーデン」の手前で足を止める。そして、カウントダウンとともに、アートガーデンに配備された650万球のイルミネーションが一斉に灯りをともす。その後、光のナイトパレードはアムステルダム広場へと移動し、最後に「スタッドハウス」が宝石のような光に包まれ、「なばなの里」(三重県桑名市)の数を超える、1000万球のイルミネーションがまばゆい光を放つ。
これだけで終われば「あぁ~、イルミネーションがきれいだねぇ」と感想を述べてホテルへと向かうのだが、光の王国では、プロジェクターを使って建物に映像を映し出す、3Dプロジェクションマッピングも実施している。特に、前述のスタッドハウスで実施される3Dプロジェクションマッピングでは、建物に「ドラゴン」の映像が映し出されることもあり、カメラやスマートフォンを建物に向ける群衆で広場はごった返しとなった。
ドラゴンを見た興奮の余韻が冷めやらぬ中、アムステルダム広場からスリラーシティへと移動し、最後に「TFMスーパーイルミネーションショー3D」を観覧した。「Glimpse into the Future~未来への時間旅行~」と題した同ショーでは、建物がスライスされ、3Dパズルに変身。巨大なジュークボックスや、目を覚ます石像などが、アップテンポな曲に合わせて、建物に描かれていった。音楽に合わせて街全体がダンスを踊っているかのようなイルミネーションと、3Dプロジェクションマッピングが融合した同ショーに、観客からは拍手や歓声が沸き上がり、筆者も一連の流れを見て、久しぶりに感動を味わった。ハウステンボスが立地する長崎県は、日本三大夜景(函館、神戸、長崎)に選定されているが、光の王国は、日本四大夜景に選ばれても遜色ない規模の夜景であった。