バリーカレボージャパン(株)(群馬県高崎市宮原町2-1、Tel.027-320-2700)は、高崎市に業務用チョコレートの製造工場を建設し、このほど開所式を実施した。工場の建設には約20億8000万円を投じており、生産能力は当初年間2万2000tで、3年以内に2万9000tまで増強する計画である。
同社は、高級ココアおよびチョコレートを製造する世界的なマーケットリーダーのバリーカレボー社の日本法人。バリーカレボーは、1996年にベルギーブランドのカレボーと仏ブランドのカカオ・バリーの合併により誕生。世界に50工場を有し、従業員は8500人となっている。ここ2年間で買収や新工場建設で11工場を増やしており、3工場で拡張工事を実施。33%の能力拡張を実施した。9月にインドネシア、10月にはトルコに新工場を開所しており、現在、チリのサンチアゴに新工場の建設を進めている。
日本法人は、04年に設立。07年には森永製菓と10年にわたる長期供給計画の締結に合意し、戦略的提携を開始している。08年には森永製菓の工場を買収する形で、兵庫県尼崎市に塚口工場を稼働。12年に森永製菓との間で提携契約の10年間の延長に合意し、合わせて生産拠点の尼崎から高崎への移転を発表していた。
今回開所した新工場は、森永製菓の工場に隣接して建設されており、敷地面積は約1万7000m²、工場延べ床面積は約8000m²となっている。総額約20億8000万円を投じて建設されており、生産能力は当初年間2万2000t。3年以内に2万9000tまで増強する計画で、建屋にはラインを導入するスペースも確保してある。
工場の生産設備は高度に自動化されている。海外の工場でカカオ豆をすりつぶして液状化したものを固めたカカオマスを生産。これを受け入れて、溶かす工程からこの工場で担当する。製造はコンピューターで管理されており、まず、ミキサーにココアリカー、ココアバターを入れて均一に混ぜる。その後、プレリファイナーで粉砕してペースト状にし、リファイナーで香料やココアバター、流化剤などを追加して練る工程を経て、液体のチョコレートができあがる。液体のままほしいという顧客にはこのまま出荷する。工場の2階には成型工程もあり、固体での出荷を希望する顧客に対応している。
日本の菓子メーカーは北関東に集中しており、高崎市に工場を移転したことで、既存顧客および新規顧客からの距離が縮まりビジネス拡大のチャンスが増えたとしている。また、ロジスティックの面でも優位性が増している。
中野文孝社長(左)と
ユルゲン・シュタインマンCEO
バリーカレボーCEOのユルゲン・シュタインマン氏は、「国内工場の高崎への移転には、顧客との距離を縮め、新商品の共同開発や成功に向けた両社の距離を縮め、新商品の共同開発や成功に向けた両社の提携を強化するという意味がある」とコメント。また、バリーカレボージャパンの中野文孝代表取締役社長は「今回の新工場設立により、国内の生産能力強化に向けた継続的な投資や国内チョコレート市場への新商品投入に当社が全力で取り組んでいることを日本国内の顧客に示すことができた」とコメントしている。