冷凍食品の市場規模が拡大している。コロナ禍によるライフスタイルの変化や共働き、高齢者・単身者の増加などといった理由はもちろん、単純に「美味しい」「便利」な商品が増え、商品カテゴリーやバリエーションが広がったことも大きいだろう。また最近は、大手事業者による通販での購入や自動販売機なども設置が進んでおり、簡単・身近に購入できるようになっている。
(一社)日本冷凍食品協会の発表によると、2022年における冷凍食品の国内消費は過去最高を記録した。メーカーのナショナルブランドはもちろん好調で、お弁当のおかずだったり、食卓のもう一品として活躍している。こうした背景もあり、スーパーマーケットでは冷凍食品の取り扱い商品数や売り場面積が増えるほか、スーパーマーケット以外の商業施設でも、冷凍食品を集積した専門店やコーナー展開が広がりを見せている。
例えばイオンリテールは、@FROZENという冷凍食品専門店を拡大しており、7月に「イオンスタイル横浜瀬谷」、8月に「イオンスタイルレイクタウン」に出店。デイリーユースできる使い勝手の良さからハレの日まで対応した、幅広い商品構成が特徴だ。イオンのPBであるトップバリュや、フランス発の冷凍食品ブランドのピカールをはじめ、ご当地スイーツやフルコース料理など、ここでしか買えない商品を多数取り揃える。
百貨店では22年8月、松屋銀座がGINZA FROZEN GOURMETを開業。銀座の名店が味わえるシリーズなどが好評で、23年7月には浅草、京都などの有名店の新商品20品の発売や、明治屋ストアーへの卸売(一部商品)も開始。松屋銀座では、24年2月までに冷凍食品売り上げ1億円を目指すなど積極的な展開を行う。
三井不動産は、冷凍食品EC事業のミタセルという新規事業を23年春からスタート。全国の提携レストランのメニューが気軽に買える冷凍食品のお取り寄せグルメで、和洋中・カレー・アジアンなどメニューも多岐にわたり、新商品の追加も逐一行っているようで、新たな通販サービスとして注目が集まる。同じ通販サービスでは、大丸松坂屋が23年春から冷凍グルメ宅配のサブスクサービス「ラクリッチ」を開始。バイヤーが厳選した冷凍グルメが6500円、9000円、1万2000円のコースごとに毎月商品セットを届けてくれる。商品は25ブランドを揃え、いつでもデパ地下クオリティの贅沢グルメが味わえるのが売りだ。
こうした事例はほんの一部で、冷凍食品はまだまだ成長の余地がある。今後注目していきたいカテゴリーの一つだ。