商業施設新聞
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No.913

人気を集める地産地消


山田高裕

2023/7/11

 先日、茨城県常総市の「アグリサイエンスバレー」内で開業した「TSUTAYA BOOKSTORE 常総インターチェンジ」に足を運んだ。書籍だけでなく文具なども含めた多彩なアイテムの取り扱い、キッズスペースの設置、ブックカフェなどファミリー層を意識した施設として注目されている。同店に加えて気になったのが、隣接する「道の駅常総」の盛況ぶりだ。

 道の駅常総はアグリサイエンスバレー事業地内で4月28日に先行開業した施設で、茨城県の特産物を利用したレストラン「TAMAGOYA」や、茨城県のメロンを利用したソフトクリーム店、農産物の直売所などを揃えている。生産・加工・流通・販売まですべて備えるアグリサイエンスバレー構想の商業、飲食を担う施設の一つとして位置づけられている。

 自分はこれまで「道の駅」といえば、高速道路などを利用するドライバーや観光客が主な客層だと認識していた。近年「地産地消」が叫ばれるなか、地元の人々を対象とした取り組みを道の駅でも行っているという話は聞いていたが、実際のところはそれほどでもないのではないかと思っていた。

人であふれる「道の駅常総」
人であふれる「道の駅常総」
 だが実際「道の駅常総」を見てみると、平日の昼間であるにも関わらず、文字どおり施設から溢れんばかりの人が集まっていた。施設屋外の焼き芋の屋台には人が集まり、施設内の人気食物販には長蛇の列ができ、施設から溢れているほどだった。施設内では名産品にとどまらず、総菜などの地域住民が買う商品も並び、品切れも出ていた。2階部分のレストランでは窓際席が客で埋まっており、繁盛していることが推察された。来客層も子ども連れなどのファミリー層だけではなく、年配の地域住民らしき人々がたくさんおり、地域でも話題の施設になっていることが感じられた。

 自分は地産地消について、掲げる目標は良いが、地方が衰退するなかで実際には掛け声倒れで終わり、商業的に成り立たせるのは厳しいのではないかという懸念を抱いてきた。しかし実際今回の道の駅常総のように、地域の食材を活かしたレストラン・食物販という触れ込みでこれだけの人々を集められるのならば、商業的にも十分に成り立つ余地があるということだろう。地元に根ざした、活発な消費の形をこれからも注目していきたい。
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