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城東区・森之宮病院・UR・大阪公立大、自宅で暮らせる街づくりへ連携


高齢化・高単身世帯率の団地で地域包括ケア拡充、『健康・医療・介護』体験のモデルルーム公開

2023/1/24

(左から)大東氏、大道氏、樋口氏、田邉氏
(左から)大東氏、大道氏、樋口氏、田邉氏
 大阪市城東区(Tel.06-6930-9058=保健福祉課)、(医)大道会森之宮病院(Tel.06-6969-8730=医療相談室)、都市再生機構(UR、Tel.06-6346-3416=大阪エリア経営部企画課)、大阪公立大学(Tel.072-254-9104=総務課)は、森之宮地区におけるスマートエイジング・シティの理念を踏まえたまちづくりに関する協定を10月31日に締結し、UR森之宮第2団地(城東区)に大道会と大阪公立大学が協力・監修して整備した「自宅で安心して暮らす!『健康・医療・介護』を体験できるモデルルーム」の内覧会を11月29日に行った。モデルルームは、2015年の開設から大幅なリニューアルを施したもので、一般公開は12月26日からを予定している。

 大阪府市医療戦略会議の提言(14年1月)において示されたスマートエイジング・シティの実現に向け、城東区森之宮地区では15年11月に城東区・大道会・URの3者で森之宮地位におけるスマートエイジング・シティの理念を踏まえたまちづくりに関する協定を締結し、孤立化防止ネットワーク会議など様々な取り組みを進めてきた。

 今回、25年度に森之宮キャンパスを開設する大阪公立大学を同協定に加え、連携事項を刷新し、再締結した。

 協定は、4者がおのおのの役割に基づき、森之宮地域において地域包括ケアシステムの拡充、生活支援、住民の見守り、都市防災またはヘルスケア分野のサービス充実などに取り組み、「健康寿命の延伸」、「生涯にわたるQOLの向上」、「安心して最期まで住み続けられる創造的な生活環境」を実現するまちづくりにつなげる。

左:URの見守りサービスの機器、右:手をつきながら移動できる家具の配置

 主な連携事項は、地域コミュニティの活性化・地域包括ケアシステムの拡充に資すること、地域リハビリテーションの推進・生活支援分野におけるサービスの充実に関すること、防災・減災に関すること、ICT利活用の促進および持続可能なまちづくりに関すること、多世代が暮らす魅力あるまちづくりに関することを掲げている。

 (社医)大道会理事長で森之宮病院院長の大道道大氏は、「森之宮病院は、創設の1954年から暮らし・地域をフィールドとした活動を始め、73年から専門職による医療相談、79年から健康教室、88年からの在宅ケア、89年からのモニター会(住民の声)、97年からの開放型病院(地域医療ネットワーク)、さらに、2019年4月には健康ステーション「まなぶ」を設置し、訪問看護ステーション、ケアプランセンター、福祉用具レンタルなどの介護保険事業を基盤とし、小児~高齢者まで地域の方々の健康や介護を分野や疾患にとらわれず最期まで総合的にサポートしている。1970年代に完成した森之宮団地は憧れの存在であったが、2015年に高齢化率が32.6%(区全体24.9%)、単身世帯率51.6%(同39.9%)、町会加入率34.2%(同72.7%)と高齢化が進み、毎年数人の孤独死が発生している。健康や介護の不安が大きい、エリア内に生鮮食品店がない、バリアの大きい住環境といった課題がある。こうした中、行政と連携し、スマートエイジング・シティの理念の下、15年度の府の予算化を受けて、モデル地区となり、3社により協定を締結し、早期介入・支援(消防、警察、郵便局、電気、ガス、薬局、地域団体、民生委員、社会福祉関係者との連携による支援体制)、ライフスタイルの提案(モデルルーム設置〈住宅改修、介護用品展示〉)、健康で安心して暮らせる環境づくり(地域見守り、鍵預かりや食品宅配サービスなど)の展開を始めた。当時、開設したモデルルームには、全国から行政担当者を中心に視察が相次いだ。大阪公立大学の開学で、スマートエイジング・シティ実現のため、学問、新しい研究成果を導入することができる。また、多くの学生が集まり街に活気が生まれ、さらに、例えば、災害時は人の力が必要で、人手により高層階から人を下ろす、物資を運び上げることも可能である。今回の4者による再協定に基づきまちづくりに取り組むが、モデルルームや活動について、今後、どう発信していくか考えている。期待して下さい」と抱負を述べた。

 城東区区長の大東辰起氏は、「城東区では、15年からの地域行事における健康講座・健康体操やまちの保健室・健康相談会、18年からの単心高齢者のための安心登録制度、見守りサポート事業、安心訪問などの見守り活動、22年のスマートフォン教室などを開催し、高齢者を支援している。また、不地域福祉振興助成金(19~21年度)を活用した高層賃貸住宅における災害弱者支援や防災訓練などを開催している。大阪公立大学との連携では、不活発予防マグネットの全戸配布(20年度)、防災講演会の開催(21年度)など多彩に展開している」ことを紹介した。

 大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科教授の樋口由美氏は、「教員は森之宮孤立化防止ネットワーク会議(2カ月ごと)へのオブザーバー参加、城東区地域ケア会議へのスーパーバイザーとして参加、コロナ禍における介護予防の啓蒙活動(全戸への健康情報配布など)、論文発表(コロナ禍活動自粛による高齢者の虚弱化)、URモデルルームの監修、学生は健康マップの作成・配布、高齢者住民の活動量の計測などを進めた。また、テレビリハ(遠隔リハ)の開発・普及、ICTを活用した次世代の住まい方の実現、MR(複合現実)技術のリハビリテーションへの活用、新しい脳卒中リハビリモデルの開発、ここでは、AI&項目反応理論を利用したロボットの練習自動プログラムの開発、脳卒中患者の麻痺手の行動の見える化、より重度な手指の回復を目指したロボット開発などを行った」ことを紹介。続けて、「今回、リニューアルしたURのモデルルームは、歳を重ねることで生じやすい健康不安、家庭内での転倒事故などを『お部屋』から解決するヒントを盛り込みました。見て、体感して下さい」とアピールした。

左:介護用リフトと電動ベッド、右:人工呼吸器、排痰補助装置、酸素濃縮器

大道会森之宮病院
大道会森之宮病院
 UR西日本の田邉豪二氏は、「14年度から地域医療福祉拠点化に取り組み、地域関係者との連携体制の構築に加え、医療福祉施設の充実化、高齢者など多様な世代に対応した居住環境の整備推進、若者世帯・子育て世帯などを含むコミュニティ形成の推進に取り組んでいる。森之宮第2団地周辺には、(社医)大道会森之宮病院、大道会訪問看護ステーション・ケアプランセンター・健康ステーション「まなぶ」、(福)平成福祉会の特養ホーム平成森之宮苑(ショートステイ、デイサービス、ケアプランセンター、訪問介護)、(福)みおつくし福祉会の森之宮保育園や小規模保育施設、(株)エースタイルの児童発達支援・放課後等デイサービスなどが立地する」と話し、地域包括ケア体制の状況などを説明した。

 大幅にリニューアルが施され公開されたモデルルームでは、URの見守りサービスの紹介や100円ショップで購入できる介護支援のグッズの紹介のほか、転ばないように順に手をつけながら室内を移動できる家具の配置や、ルームシューズ、ラグの下に敷く滑り止めマットなどの転倒予防グッズ、人感センサー付の照明などが展示され体験できる。また、レンタル可能な介護用リフトや電動ベッド、医療機器(人工呼吸器、排痰補助装置、酸素濃縮器)も展示され、それぞれのレンタル料金も表示されている。

(編集長 倉知良次)

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