2005年に設立されたファーウェイ・ジャパン(株)(東京都千代田区)は、日本に根差し、顧客の成功と社会の継続的な発展に貢献することを基本方針に掲げている。21年12月時点で1000人近くの従業員を擁し、そのうち80%前後が現地採用となっている。通信事業者向け、法人向け、デジタルパワー向け、コンシューマー向けの4つの事業分野を柱とし、日本市場のニーズに応える幅広い製品やサービスを提供している。今回は、ファーウェイ・ジャパンにあって、代表取締役社長の任にある侯涛(ホウ・タオ)氏に話を伺ってみた。
―― お生まれはどちらですか。
侯 湖南省出身であり、北京大学で経済学や外国語を学んだ。ファーウェイ・ジャパンの社長に就任する前は、複数の管理職の任にあった。ファーウェイにとって日本法人のファーウェイ・ジャパンは、実に重要な存在であり、私の果たす責任は重いと思っている。
―― ファーウェイ本社は、研究開発に注力していますね。
侯 そのとおりだ。21年段階の売り上げは11.3兆円となっているが、研究開発については2.5兆円を投入しており、売り上げの22.4%にもあたる金額を充てている。常に研究開発への持続的な投資が必要であり、テクノロジーのブレークスルーを後押ししなければならない。国際企業であるファーウェイは、170以上の国・地域で事業を展開し、世界中で30億人以上のユーザーにサービスを提供している。これからもすべてがつながるインテリジェントな世界の実現に全力を挙げていく。
―― ファーウェイ・ジャパンのミッションとは。
侯 日本のパートナーと協力して日本のカーボンニュートラルとDX革命の推進に、とにかく貢献したいと考えている。
―― 日本は重要な調達市場でもありますね。
侯 日本国内には、グローバル市場に向けた技術の研究や、部品・部材の調達を実施している。優れた技術を持つ日本のサプライヤーとの協業関係を積極的に構築していく。調達市場としての日本ももちろん重要だ。19年段階では、日本からの調達額は1.1兆円に達しており、今後も増やしていきたい。日本の部品・材料・装置などは、世界的に認められる品質を持っていると思う。
―― 日本との結び付きはさらに強化されるのですね。
侯 日本現地パートナーとの協力を通じてウィンウィンを実現して日本社会のために貢献する。SDGs革命が推進されているが、ファーウェイはこれに貢献する様々なソリューションを持っており、もっと多くの最先端の製品と技術を日本に持ち込みたいと思う。
―― 日本の良いところについては。
侯 ものづくりにおける匠の精神を持っていることだ。それは非常に見習うべきだと思う。変化に対応するスピードがもっと速ければさらに完璧になる。
―― ファーウェイ・ジャパンの経営ミッションは。
侯 私の考えでは、パイを作ることはパイを奪い合うことよりも重要であり、百年の老舗になるためには分かち合うということを身につける必要がある。ファーウェイ・ジャパンと現地パートナーはそれぞれの強みを活かし、相互補完関係を形成することで、強力なパートナーシップを生み出し、自らの役割として産業発展を促す必要がある。すべての人が満足するマルチウィンでやっていくことを貫けば、新たな経済効果と豊かな未来社会が築けると切に考えている。
(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
本紙2022年12月8日号4面 掲載