商業施設新聞
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No.886

復活 記者懇親会


松本顕介

2022/12/13

 新型コロナウイルスのまん延により、行動規制が強いられてはや3年。その間、政府はウイルスの特性変化やワクチン接種の進捗に応じて、感染者全員入院からの転換、国民の行動制限や経済活動の制限の見直しを行うなど、状況に応じた政策を展開するウィズコロナが浸透してきた。こうしたウィズコロナ下での最近の大きなトピックスは、訪日外国人の受け入れ再開だろう。紅葉を求めて京都や日光に外国人が押し寄せる光景がニュースなどで流れている。

11月29日に開催された三井不動産の記者懇親会のようす
11月29日に開催された三井不動産の
記者懇親会のようす
 そうなのだ。日常生活において様々な行動制限が緩和されてきている。記者の立場でいえば記者懇親会が復活を見せている。さすがにコロナ初年度といえる20年は記者懇親会を開催する企業は皆無だったが、21年あたりから徐々に再開がみられた。企業も記者との情報交換や意見交換は有益と考えている証だろう。ありがたいことだ。

 ただ、やはり感染防止を鑑み、従来のような立食形式の懇談会スタイルではない。多くの企業が採用したのが、テーブル席に記者が4~5人座り、担当役員が順番にテーブルを回る着座スタイルだった。時間制限があり、ゆっくり話はできず、飲食はコーヒーかペットボトルといったところで、当然食事はない。昨年まで記者懇親会を見送っていた企業もこのスタイルを導入するケースが増えてきた。この先、ずっとこのスタイルが標準化するのではないかと思っていた。

 しかし、さらにこれを一歩進めた、いやこの不文律を破ったのが三井不動産である。11月29日に開催した。同社は例年、記者懇親会を東京・日本橋室町のマンダリンオリエンタル東京で開催してきたが、20年から中止となっていた。しかし今年、場所を帝国ホテルに変更して復活したのだった。どういうスタイルで開催されるのだろうと思っていたが、会場の富士の間に足を入れて驚いた。広いホールに歓談ゾーンと黙食ゾーンが設けられている。歓談ゾーンはマスク着用でコロナ前のように自由に歓談できる。お馴染みの担当役員と名刺交換するための長い列も見られた。一方黙食ゾーンは文字通り黙って食べるわけだが、軽食ではなく、豪華な料理で各種料理には料理人が付くビュッフェスタイル。締めのスイーツも豪華に並んでいた。また、食事が終わると給仕がすぐに皿を下げてくれるあたりがコロナ対応といったといったところだった。

 乾杯の挨拶に立った三井不動産代表取締役会長の岩佐弘道氏は、2000年から記者懇親会が催されたことに触れ、これまでの中止は東日本大震災とくだんのコロナであり、今回の開催が20回目という節目であったということを述べながら「みなさんに会えるのを楽しみにしていた。リアルはいい」と、リアルの大切さを強くアピールされていたのが印象的だった。ちなみに、乾杯の挨拶に立った岩佐会長だが、いわゆる「かんぱーい!」の発声は見送られた。これにはもう少し時間を要するかもしれない。
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