商業施設新聞
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No.885

原宿エリアの新たな変化


新井谷千恵子

2022/12/6

 先日原宿周辺で仕事の用事があり、竹下通りを通った。少し前までは以前と比べて人も少なく、空き店舗も多い印象であったが、やはりインバウンドが解禁されたことを受けてか、訪日外国人観光客が多く見られた。

平日にも関わらず人通りの多かった竹下通り
平日にも関わらず人通りの多かった竹下通り
 竹下通りというと、筆者としては「サブカルチャー」や「流行の発信地」という印象が強い。おしゃれに興味を持ちだした中学生のころは、いつか原宿という“おしゃれタウン”に行ってみたい……そんな思いを胸に抱いていたものだ。当時原宿というと、「ゴシック&ロリータ」や「原宿系」など、そこでしか購入できないような洋服が売っていたはず。今でこそ、ファッションビルやSCにもそういったブランドが入るようになってきたが、当時は原宿など限られた場所にしか店舗がなかったと記憶している。自分では着用しないが、そういった洋服を見るのが好きなため、いつか生で見てみたいと思い、原宿に足を運ぶ日を夢見ていたのだった。

 最近の竹下通りを歩いてみると、昔に比べて食や雑貨を販売する店舗が増えた印象だ。道行く訪日外国人観光客がカラフルで大きい綿あめや、とても長いポテトの串刺しなどを持って歩いていた。また、動画サイトでよく見る、カラフルな外国産のお菓子なども販売されており、やはり流行に敏感な街の特徴は変わらないのだろう。

 原宿は、表参道や青山といったファッションや流行の発信地に隣接している。しかし表参道や青山は、名だたるワールドクラスのブランドが旗艦店を出店するなど高価格帯の店舗が集積され、街ゆく人々の年齢層も高めだ。やはり原宿・青山・表参道というエリア全体で見ても、商業開発のポテンシャルは都内トップレベルとも言えるだろう。

 そんな原宿周辺で今、「原宿クエスト」の再開発事業が進められている。原宿クエストは、1988年にNTTグループの前身である電電公社の総裁公邸跡地に建設された。ファッション店舗やカフェ&レストラン、ホールなどを併設した複合施設として運営されてきたが、2021年10月に閉館となった。新生原宿クエストでは、表参道と奥原宿をつなぐパサージュを設け、エリアの回遊性を向上させる。それだけでなく、表参道側の低層階にはグローバルブランドの大型旗艦店を誘致し、そのほか低層棟や地下階には新興ブランドなどを積極的に誘致することで、表参道・奥原宿という街の2面性を表現していく。

 NTT都市開発は、20年6月に原宿駅前の「ウィズ原宿」を開業している。このウィズ原宿と新生原宿クエストの両方を展開することで、原宿という街にどのような影響が生まれるか。新たな街づくりに期待が集まるだろう。
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