スポーツクラブといえば、ジムやプール、スパなどを備えた「大型・総合型」、単一機能もしくはジムとスタジオだけなど、お手軽に通いたい人のための「中型・小型」といったように、ユーザーのニーズに応える形で次々と新しい業態が生まれてきた。では「その次」と言わんばかりに登場したのが「コンビニジム」だ。このコンビニジム、コロナ禍で厳しい状況になったフィットネス業界の救世主となり得るのか。
コンビニジムは、小売りのコンビニエンスストアと同様、簡単、便利を売りにしたジムのこと。これを仕掛けたのはRIZAPで、ブランド名は「chocozap(ちょこざっぷ)」。RIZAPと言えば、短期間・マンツーマンで高い効果を上げ、日本にパーソナルジム旋風を巻き起こした企業であり、あのテレビCMや独特な音楽は誰もが知るところだろう。そんなRIZAPがこれまでの戦略とは真逆ともいえる、いわゆる大衆向けの業態を開発してきたのだから実に興味深い。
chocozapの特徴は「低価格」「24時間365日使い放題」「全店利用可能」「1日5分の運動で健康になれる」などがあり、価格は月額2980円(税別)とかなりの低価格だ。また、いわゆる安かろう悪かろうではなく、マシンは筋トレマシンやランニングマシンといったものに加え、エステマシンも備えている。この低価格でこの充実したマシンの数、種類は破格だ。
去る9月、東京・新宿の「chocozap西新宿店」を取材する機会があった。同店はビルの1階にあり、広さは、コンビニエンスストアと同等かやや小さいくらいだが、圧迫感や窮屈感などは特に感じない。店内には筋トレマシンや有酸素系マシンなどがたくさん並び、奥にはエステルームがあり、セルフエステマシンで自由にエステ体験もできる。
また、ライフスタイルを変えるための必需品として「スターターキット」(体組成計・ヘルスウォッチ)を、chocozapの全ゲストに提供するといった大盤振る舞いで、早速会員の獲得に全力を挙げている。RIZAPグループでは、このchocozapを成長エンジンと位置づけ、今秋から本格展開を開始した。すでにテレビCMが放映されているほか、実店舗も首都圏などを中心に続々とオープンしている。chocozapは23年3月期末に300店を目指し、26年3月期には2000店体制を目標としている。
RIZAPの新業態として本格展開をスタートしたchocozap。実際、筆者の自宅最寄り駅近くでもオープンし、利用客も見かける。今後どのような成長を描いていくのか注目したい。