商業施設新聞
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No.880

商業施設に必要なもの


今村香里

2022/11/1

 「あべのキューズモール」(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-6-1)では、8月5日に新キッズスペース「キューズランド ベビー」をオープンした。顧客などから要望の強かったベビー専用の遊び場で、阿倍野区やその地域で活動する団体などと企画段階から連携してつくりあげており、地域の子育てをサポートしていくという。このように商業施設では、子どもの遊び場/キッズスペースの設置が必須項目になりつつあり、各社各様の特色が出てきている。

 「キューズランド ベビー」は、既存のキッズスペースのベビーバージョンとして新設し、0歳から2歳の子どもとその保護者が対象。2階エスカレーター横に配置し、3階の既存のキッズスペースと連動できるようエスカレーターやその先にあるエレベーターからの移動がスムーズにできる導線を確保している。キッズスペースの設置では、回遊のしやすさやベビーカーでスムーズに移動できる環境が重要だ。向かいにはイトーヨーカドー内のアカチャンホンポの売り場があり、使い勝手も良さそうである。

ベビーの遊び場キューズランド ベビー
 スペース内は、お絵描き、ディスプレイ、遊具、フォト、プレイの5つのゾーンを備える。子どもが遊びだけでなく、学んだり、成長を実感できる空間づくりに注力している。一例として、プレイゾーンは「もりの中のちいさなおか」をイメージしたかわいいクッションを配置し、座ってバランスをとるなど自由な遊びを誘発する遊び場となっている。

 特にデベロッパーの特色が出ているのは、地域団体と共につくりあげている点だ。あべのキューズモールでは、行政、地域団体、テナント各社との連携を通じて、地域コミュニティーの活性化に貢献する「ギャザリング活動」を積極的に推進している。そのうちのひとつで、子育て支援の取り組みである“キューズ ママスマイル プロジェクト”では、子どもの遊び場の整備はもちろん、阿倍野区の子育て支援団体「codomotoままちっち」と連携した子育て世代向けのイベントを行い、地域と連携した施設づくりができている。連携では、スペースの企画段階から意見を取り入れており、お絵描きなど「作ったものを飾れる場が欲しい」という意見や、ままちっちの活動のひとつである子ども服の回収BOXの設置を行うなど、その地域の子育てに役立てられている。東急不動産では、関西エリアのキューズモール各施設で地域の子育てなどを支援しており、今後も地域に密着した活動やスペースの整備を積極的に行い、地域に必要な施設づくりを推進していくという。

 最近では、ようやく日本でも企業の社会貢献が注目されているが、社会貢献だけでなく、そこに住む地域の人が利用しやすく、地域の特色を打ち出した施設づくりが商業施設には必要だ。特に子育てに関連する取り組みは、自治体でも地域差がみられる。どこの地域で子育てをし、生活をしていくかの選択に豊かさや便利さは必須で、商業施設もその一つを担っているのだと改めて感じるのである。
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