商業施設新聞
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No.876

出張ランin札幌


松本顕介

2022/10/4

 宿泊を伴う出張の際は、朝ランニングすることが慣例となっている。理由はエリアの地形や位置関係がすぐに頭に入るからだ。

 今回は札幌市内中心市街地を走った。札幌市内は1972年の札幌冬季オリンピック招致で都市の高度化が進み、ビル建設や地下道整備、地下鉄敷設など都市開発が活発化した。一方で五輪開催から約50年を迎えることから、当時建てられたビルや都市インフラが更新時期を迎えている。さらには2030年に開通する北海道新幹線の延伸、そして30年の開催へ向けて冬季五輪招致に札幌市が名乗りを上げている。これらが相まって開発機運が高まっており、大型計画が続々浮上している。折しも1年前、東京オリンピック・パラリンピックのマラソンと競歩の開催会場となったのも札幌だ。どうせならマラソンコースをなぞってみようと、2日に分けて初めての北海道を走ってみた。

 前日までの大雨が少し残るような、降ったりやんだりのあいにくの空模様。それでも「せっかく来た感」が後押しして、1日目は北海道大学を中心とした札幌駅より北側のコースを巡った。宿泊したすすきのエリアから札幌駅前通を北上するのだが、あることに気づく。道が広く整然としていてアメリカの大都市に似ている。札幌中心部は街区が100×100mのグリッド状に配置されており、そんな気分にさせるのだろう。札幌時計台、北海道庁旧庁舎の赤レンガ庁舎を抜けて、札幌駅が現れる。数年後、駅にはラグジュアリーホテルが入居する43階建てのビルや、35階建ての超高層ビルがそびえることになる。駅の顔はがらりと変わる。とりあえず写真を撮った。

幌平橋から豊平川を望のぞむ
幌平橋から豊平川を望のぞむ
 札幌駅を抜けると、やおら雰囲気が変わり、やがて目の前に森が見えてくる。北海道大学だ。キャンパス内を南北に貫く通りには朝早くからジョギングする姿や、スキーのクロスカントリーのトレーニングだろうか、ストックを手にインラインスケートで緑の中を颯爽と駆け抜けていく。霧雨に見舞われたが、初夏に差し掛かる札幌のすがすがしさに浸っていると、出発の時間が迫っていることに気づく。本来であれば、札幌市北区役所の前を通過するのが五輪マラソンコースだが、断念した。

 翌日は一転快晴に恵まれた。今度は逆にすすきのから南側のコースを走ってみた。すすきのの繁華街を抜けると中島公園だ。早朝、公園で過ごしている人を見ると、この公園が市民の憩いの場所になっているのがわかる。再開発が進む都市といえば福岡市が挙げられるが、福岡にも大濠公園という素晴らしい公園がある。都市の中に大型公園は欠かせないアイテムだと実感した。中島公園内および周辺にはMICE開催を見越してコンベンションホールやホテル新設計画が持ち上がっている。

 マラソンコースにならい中島公園を抜けて幌平橋を渡ると、繁華街やオフィス街の雰囲気からぐっと郊外の雰囲気に変わる。マラソンレースではまだ団子状態だった10km付近となる北海学園大学付近を抜けて、再び豊平川を渡る。実際のマラソンコースではそこから北海道大学まで北上するが、こちらは西に折れて大通公園の西端を折り返して、ゴールとした。大通公園では週末開催のイベントに備えて会場設置が進んでいる。大都市+公園+イベントは、今や都心に欠かせないアイテムである。どうやら道産食材を使った食のイベントのようだ。是非とも舌鼓を打ちたかったが、後ろ髪を引かれる思いでその場をあとにした。

 これから大型開発を控える札幌市中心部。工事している重機の数からみると大型開発はまだこれからだが、2030年、札幌中心部の姿が大きく変貌していることは想像に難くない。訪れる機会があればまたその時、是非走ってみたい。
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