8月26日、宇都宮駅東口近辺にて複合施設「ウツノミヤテラス」が開業した。食品スーパーや飲食、家電など様々なテナントが集まった商業部分と、バンケットやホテルなどが複合し、宇都宮駅東口から歩行者デッキで直結する施設だ。宇都宮駅東口では今後、交流広場「宮みらいライトヒル」や、高度医療施設、分譲マンションの開発が計画されており、周辺が宇都宮市街地の核となりつつある。
では、一方で宇都宮駅の西口はどうか。宇都宮駅周辺では従来、市街の中心と言えるのはむしろ西口の方だった。駅近くの商業施設「トナリエ宇都宮」をはじめ、様々な商業が西側に集積。田川にかかる橋を挟んで、大通りを直進ししばらく歩くと、宇都宮パルコと二荒山神社、そしてその周辺の商店街があり、宇都宮市役所や栃木県庁も近くにある。
しかし2019年5月、この地で22年間営業してきた宇都宮パルコが閉店。周辺は商業の重要な核を失うこととなった。建物は解体されず今も残っており、何も入っていないがらんどうのままそびえ立っている。わずかに建物の片隅を占める交番だけは今も変わらず稼働しており、それが逆に物悲しさを感じさせるほどだ。
パルコ周辺の商店街についても一通り歩いてみたが、平日ということもあるがあまり活気は感じられない光景だった。若者向けの飲食業態などはちらほら見られるが、古い建物も多くシャッターが下りている店も目立った。ドン・キホーテなどの大手小売がかろうじて集客しているといった具合だ。
こうした状況では宇都宮パルコ跡地の再開発が強く望まれるところだが、話はそう簡単ではないようだ。1990年代に作られたパルコの建物は古いファッションビルにありがちな構造で、窓が少ないなど転用が難しい。それに加えてコロナの影響があり、どこの事業者も利活用や再開発に二の足を踏んでいるといった状況だ。
従来、駅前と商店街・官庁街といった市街地の核が2つあった宇都宮だが、ここに来て駅前では再開発などが進む一方、市役所やパルコ跡地周辺では大きな動きが見られず、活気という面でも苦戦しているようだ。今後市街地の核や人の流れの変化が不可逆的に進んでいくのかどうか、宇都宮市の動きを見守りたい。