(社医)厚生会(山田實紘理事長)は、建設を進めてきた中部国際医療センター(岐阜県美濃加茂市健康のまち1-1、Tel.0574-66-1100)の入院部門を1月1日、外来診療部門を1月4日にオープンした。旧木沢記念病院(美濃加茂市古井町下古井590)の高度急性期、救急医療部門などを大幅に拡張した新病院を建設し、移転するとともに、旧木沢記念病院は、中部脳リハビリテーション病院として再スタートした。
◆理事長「日本の高水準・経済的医療を外国人に」
山田理事長は、開院に際し、「医師として半世紀にわたる経験の集大成として、美濃加茂市健康のまち一丁目1番地で『中部国際医療センター』を実現しました。地域の中核病院として、専門的治療、高度医療の提供、救急医療の一層の充実のほか、個々の患者さんに最適な治療を提供してまいります。さらに、充実した最先端の機器と優秀な医療スタッフを揃えており、世界中の病める人々の医療のメッカとなることを目指しています。現在の日本医療の質は、国際的に高水準と評され、海外からの絶大な信用があります。医療費の面でも他の多くの先進国と比較すると経済的に治療を受けることができます。将来的に、日本でも海外の医療保険が利用できるようになれば、東南アジアからだけではなく、欧米からも安価で高度な日本の医療を求めて来日することが予測されます。当院は、すでに外国人患者受入れ拠点病院に認定されており、7カ国語に対応し、海外からの患者さんが不安なく受診できる体制を整えております。アメリカ西海岸から中部国際空港へ、空港からヘリで当院へ移動し、検査や治療を受けるという事例も想定しています」と抱負を語る。
◆美濃加茂市の街並みを見下ろす雄大な眺望確保
中部国際医療センターは、美濃加茂市の街並みから遠く木曽川の流れを見下ろす高台の敷地11万4675m²に建設されており、その雄大な眺望が療養環境の向上にも大きく寄与している。建物は、入院外来棟(基礎免震構造のS造り10階建て延べ4万7761m²)、放射線治療棟(耐震構造のRC造り3階建て延べ4631m²)、2023年稼働予定の陽子線治療棟(耐震構造のRC造り地下1階地上2階建て延べ1412m²)などで構成し、総延べ床面積は5万9516m²となっており、塔屋屋上にヘリポートを設置した。病院本体と外構工事の設計は久米設計名古屋支社、施工はフジタ名古屋支店とTSUCHIYAのJVが担当した。
◆建設中の陽子線治療棟は23年稼働開始目標
フロアごとの機能配置を見ると、1階は、入院外来棟が総合案内、総合受付、患者様支援センター、大型ディスプレーを配置した中央ラウンジ、1-A外来受付(総診、腎内、呼内、循内、消内、外、内代謝内、血内)、1-B外来受付(整外、心外、乳外、脳外、麻、産婦、脳内、泌)、採血・採尿・処置、健康管理センター、最新の診断機器を揃えた放射線科、内視鏡検査、時間外・救急部門、放射線治療棟が最新の治療機器2台を備えた放射線治療とアイソトープ検査の放射線治療科、陽子線がん治療センターなどを配置している。建設中の陽子線がん治療センターは、23年の稼働開始を目指している。
◆救急は同時に6人対応、CT・MRIを併設
1階救急外来は、感染症対応1室を含む診察室6室、中央処置室2カ所を設置し、6人の救急患者を同時に対応でき、災害時にはこの2倍の収容が可能である。救急室内にレントゲン、CT、MRIなどを配置し、救急室内にICU、手術室、カテーテル室に直結のエレベーターを備えている。隣接してHCU 10床と6床の経過観察のベッドも配置し、人工呼吸器管理や緊急透析にも対応可能である。旧木沢記念病院は、可茂消防管内の救急搬送の半分、美濃加茂市の救急の7割を担ってきたが、中部国際医療センターの敷地内には救急救命士が常駐する「救急ワークステーション」が設置され、さらに、岐阜県中濃地区で初となるドクターカーの運用をスタートしており、救急体制が大幅に強化された。
◆2階に外来・化学療法・透析・生理検査など
2階は、入院外来棟が2-A外来受付(眼、歯外、皮)、2-B外来受付(形外、耳、小)、生理検査、腎センター(一般透析ユニット40台、個室陰圧室2室〈透析ユニット2台〉)、通院治療センター(化学療法24床、化学療法個室1床)、患者図書館、がんサロン、栄養相談室、検体検査、薬剤、給食(厨房)、レストランを配置している。
◆3階は手術11室・DSA4室・ICU10床
3階は、入院外来棟が手術室11室(うち1室は東海地区初導入のハイブリッド手術室)、血管造影室(DSA)4室、ICU 10床(うち個室1床は陰圧・陽圧対応)、管理部門を配置している。なお、放射線治療棟の2階は病理検査、機械室、3階は機械室となっている。
◆入院外来棟1~3階にホスピタルモール
また、外来入院棟には、3階までの吹き抜け形式のホスピタルモールが確保されている。
4階以上は入院棟となり、4階に病棟とリハビリ、5~9階に病棟、10階に機械室を配置し、塔屋屋上にヘリポートを設置した。病床は502床(一般410床〈うちHCU 10床、ICU 10床〉、回復期92床)。診療科目は、ほかに、消化器外科、緩和ケア科、病理診断科、救急科、精神腫瘍科、リハビリテーション科など33科を標榜している。
◆充実した利便施設や健康増進施設クラブM
また、中部国際医療センターでは、敷地内に付属施設棟「みのかも健康プラザ」を設置し、1~2階に美濃加茂市保健センター、1階に高級「生」食パンの乃が美 はなれ、たんぽぽ薬局、2階にタリーズコーヒー、ツタヤブックストア、ファミリーマート、3階に健康増進施設クラブMを配置している。ツタヤで書籍を選んで、タリーズで試読することも可能である。みのかも健康プラザの各店舗や本館2階のレストランは、病院職員のほか一般客、見舞客なども利用が可能である。
健康増進施設クラブMは、会員制の疾病予防運動施設で、「医療」と「運動」を結び付けた「メディカルフィットネス」として効率的かつ効果的な健康づくりの支援を目指している。プール、ジム、スタジオ、ジャグジーなどを備え、予防医学の観点から生まれた運動プログラムのもと、一人ひとりの状態に合わせたプログラムを作成し、生活習慣病の予防・改善、健康な体づくりをサポートする。
(この稿続く)
(編集長 倉知良次)