商業施設新聞
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No.421

“日中に冷やすのをやめた”ピークシフト自販機


笹倉 聖一

2013/8/13

昼間に電力を使わないピークシフト自販機
昼間に電力を使わないピークシフト自販機
 東日本大震災から2年以上が経過し、さらに酷暑、ゲリラ豪雨などの異常気象が重なったことで、この夏は節電に対する重要性の認識が薄らいできた感がある。そんな中、日本コカ・コーラ(株)(東京都渋谷区)が、日中は冷却しない「ピークシフト自販機」を富士電機と共同開発し、6月までに1万5000台の設置を完了した。同社が開いた同自販機のPRイベントには、お笑い芸人の小島よしおさんらが登場し、「日中に冷やすのをやめました」宣言をした。

 ピークシフト自販機は全体が赤色で、前面上部に白抜きで「ピークシフト自販機」と表記してある。側面と取り出し口の上部には、涼しげな北極の白熊が描かれ、私が見たものには「日中冷やすのやめたんですと。なのに冷たいんだって。」と吹き出しが付いていた。

 ピークシフト自販機の大きさは通常の自動販売機と同じなのだが、内部の構造は全く異なっている。通常の自販機は取り出し口の近くで数十本の缶やペットボトルを冷やす。一方、このピークシフト自販機は内部全体が魔法瓶のようになっていて、保存庫で保冷するようになっている。冬場は逆に、加熱した飲料を保温できる。あらかじめ夜間電力(8時間)を使って内部の飲料類を冷やしておいて、昼間は電気を切って保冷状態とし、節電する仕組みである。内部には、250~300本(推定)の缶やペットボトルを保存できる。開発・製造は、同社と富士電機が協力して行った。

 電力の使用を夜にシフトすることで、消費電力は夏の日中において95%削減する効果があった。日本コカ・コーラは今後、さらに1万台を増設し、2013年末までに累計2万5000台の設置を予定している。他社から要請があれば、有償で技術供与をする用意もあるそうだ。

「日中に冷やすのをやめました」宣言をする小島よしおさん
「日中に冷やすのをやめました」
宣言をする小島よしおさん
 新型自販機の認知度向上を図るため、日本コカ・コーラは7月、東京・池袋でPRイベントを開催した。このイベントには、お笑いコンビ「ますだおかだ」の岡田圭右さんと、お笑い芸人の小島よしおさんが登場し、ピークシフト自販機の1日宣伝部長を務めた。普段は、スベってばかりでお茶の間を冷やしている2人が、「日中に冷やすのをやめました」宣言をし、ピークシフト自販機を紹介。自販機からコカ・コーラを取り出して飲み、“冷やすのをやめた”のに、冷えていることを強調した。会場に設置された高さ6m・横幅4mの巨大ピークシフト自販機の内部には、氷を利用して保冷庫を模したアイスバーが内設され、小島よしおさんは「おっパッピー」と発声してコカ・コーラで乾杯し、節電を訴えた。
 私達は、節電によって炭素化合物の排出を減らすことで、地球環境を保全するという努力を忘れがちになっている。日本コカ・コーラの取り組みは、節電の大切さを思い出させてくれるという点で、重要な取り組みといえる。世界でも一流の環境保全技術、節電技術を持つ日本は、炭素化合物の排出増加による気候変動や、新興国の大気汚染・河川汚染などの問題解決で世界を主導できる立場にあることを忘れてはならない。どの政党が与党になろうとも、それは変わらない国のあり方と考えたい。
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