(株)インターアクションは、IoT関連事業としてイメージセンサー向け検査用光源装置を手がけており、世界トップシェアを誇る。イメージセンサーのさらなる需要増が見込まれるなか、足元の動向と今後の展開について代表取締役社長の木地伸雄氏に話を伺った。
―― 設立は1992年6月ですね。
木地 米国の半導体メーカーのDMD(Digital Mirror Device)向けに検査装置を提供させていただいたことをスタートとして、イメージセンサー向けでは韓国イメージセンサーメーカーと取引が始まり、95年から国内イメージセンサーメーカー向けにもCCD光源装置を供給させていただくようになった。当社の光源装置は「テストに必要な光を作るコンポーネント」だと思っていただければ良い。
―― 製品群は。
木地 (1)光源装置と(2)瞳モジュールに大別できる。(1)は主要テスターメーカーのテスト装置にドッキングさせて使用するもので、モバイル用、車載向け、NIR(近赤外光)やSWIR(短波赤外光)といったセンシング向けといったイメージセンサーの用途に応じて最適な光を提供しており、主にチップメーカーに納入している。
(2)は、検査光を調整する治具だ。カメラモジュールはイメージセンサーと多数のレンズで構成されるが、このモジュールになった状態をウエハーの段階で再現することができるもので、プローブカードと組み合わせて使用する。このため仕様は一様ではなく、カスタマイズ品になる。
当社は、光源となるLEDやレーザー、ハロゲンランプなどを調達して本社で組立・検査・個別調整を行い、顧客に提供している。
―― ハイエンドな光源を提供しているのですね。
木地 当社の光源装置を必要とするイメージセンサーメーカーは、基本的にハイエンドセンサーを製造しているメーカーであり、これまでは中国の新興メーカーなどとの取引はほとんどなかった。しかし近年は、ToF(Time Of Flight)やLiDARといった新たなセンサーや用途が台頭し、エッジ側のセンシング用途にも市場が広がってきた。今後は欧米メーカーの車載向けや中国メーカーも顧客になりうるとみており、顧客基盤を拡大できそうだ。実際、先ごろ中国メーカーに初めて瞳モジュールの納入実績ができた。
―― 国内メーカーが新設工場を稼働するなど、イメージセンサーは今後も生産拡大が見込まれます。光源装置の需要動向は。
木地 米中摩擦の影響を受けた2020年は海外向けこそ堅調だったものの、国内向けは一服感が強く、IoT関連事業における売上構成比は海外が約6割を占めた。アジア各地のロックダウンで生産量が伸びないという影響も受けた。だが、足元では国内の投資が力強く復調し、旺盛な引き合いをいただいている。この需要は23年5月期まで継続するとみており、IoT関連事業を中心に全社ベースで売上高は堅調に推移するとみている。これに備えて本社で組立能力を拡張中であるほか、新たな開発品が今期後半から本格的に立ち上がってくることにも期待している。
―― 今後の事業展開について。
木地 車載用センサーなどの、センシング領域向けイメージセンサーの検査光源に対して開発をさらに強化していくことが次のテーマになる。NIRなど波長領域が従来と異なってくるため、生産性を上げつつ検査光の安定性を高めるのが難しい。波長が多様化してくることを想定し、様々な波長やダイナミックレンジに対応可能なマルチファンクション光源を開発していく。
また、モバイル向けイメージセンサーでも、大判化や微細化、多画素化などが進むことで、テスト負荷が大きく品質要求も厳しくなる。そうなれば既存のテスト技術では間に合わなくなり、新たなテスト技術が求められるようになると考えており、これにも備えていきたい。
―― 今後の抱負をお聞かせ下さい。
木地 イメージセンサーの光源装置で培ってきた技術を生かし、AIを組み合わせて検査工程の無人化を実現して、中小企業の生産革新に貢献したい。コロナの影響で検査要員の採用は厳しさを増している。光を応用したFA画像処理技術を確立して「今までできなかったことを実現する」ことに取り組み、IoT関連事業に続いてインダストリー4.0推進事業をさらに拡大していくつもりだ。
(聞き手・編集長 稲葉雅巳/特別編集委員 津村明宏)
(本紙2021年11月11日号11面 掲載)