東証一部上場企業のローツェ（株）（広島県福山市神辺町道上1588-2、Tel.084-960-0001）の快進撃が止まらない。半導体関連装置分野は、いまや全社の85％を占有するほどになっており、世界を舞台に半導体製造用の各種自動化装置の開発・製造・販売に注力しているのだ。全社売り上げは、大台の1000億円突破を狙っている。同社を率いる代表取締役社長の藤代祥之氏にお話を伺った。

―― ローツェはひたすらオリジナリティーにこだわっていますね。
　藤代　1985年3月に設立されたローツェは、創業から三十数年間にわたって常に「世の中にないものをつくる」を合言葉にしてきた。これは創業者の崎谷文雄が確立した社是であり、皆これを守ってきた。自社開発、そして自社生産で貫き通し、徹底的なオンリーワンを追求する姿勢は、これからも続くだろう。

―― 主力の搬送ロボットや自動化装置の部品類も内製化しています。
　藤代　モーションセンサー、モーションコントローラー、モータードライバー、さらには機械構造などのコア技術は、すべて自社ならびに海外のローツェグループで開発している。また、すべての製品をローツェグループ内で生産している。こうした主要部品の内製化などにより、製品の隅々までを知り尽くしている。これがゆえに、お客様の要望に最適なソリューションを提案できるわけであり、万が一のトラブルの際も迅速な対応を実現できる。

―― 業績はまさに急上昇となっていますね。
　藤代　21年2月期は、全社売り上げ508億円を達成し、その前の期の371億円に対し、実に40％近い伸びを示した。コロナ禍にあっても順調に伸び続ける半導体産業の力強さが、私たちを支えてきた。お客様にはひたすら感謝するばかりである。22年2月期については603億円の売り上げを計画しているが、十分にいけると見ている。中長期的には1000億円突破を狙っていく考えだ。

―― 製品群の現状は。
　藤代　常に独自製品にこだわっている。また、垂直統合型生産体制もずっと維持してきた。「世の中にないものをつくる」ためには、生産工程を自社で一元管理しなければならない。独自製品として大気用ウエハー搬送ロボット、真空用ウエハー搬送ロボット、自律分散型処理システム、モータードライバコントローラーなどがあり、ここに来てすべてが伸びている。ロードポート、アライナー、ソーター、ベアウエハストッカー、N2パージウエハーストッカー、レチクル搬送システム、真空プラットフォームなど製品群は非常にバラエティーに富んでいる。

―― 設備投資は。
　藤代　ここ数年間は、非常に積極的に先行投資してきた。前期は21億円であったが、その前の期は64億円を投入した。今期は当初15億円程度を設定していたが、ベトナム新工場、中国での生産拡大などが加わってきたことで、結果的には30億円を超えてしまうかもしれない。しかしながら、お客様の要望に応えるためには、何としても供給体制の整備を急がなければならない。

―― 現在の売り上げ構成については。
　藤代　米国が全体の32％、中国が26％、台湾が16％、日本が9％、韓国が8％となっている。しかしここに来て、中国からのフォーキャストがとんでもなく上ぶれしている。おそらく、予定の2倍の設備投資に膨れ上がっているのだと思う。このため、かなり近い時期に、中国向けがトップになるだろう。

―― ベトナム工場の活躍は大きいですね。
　藤代　96年10月にベトナムのハイフォン市に子会社を設立したことに始まる。その後、次々に増強してきたが、19年11月のベトナム子会社の工場拡張は、かなり大型のものであった。敷地面積は3万1932m²、延べ床面積は約4万7000m²に及んだ。ベトナムの労働者は真面目で責任感も強い。そして、非常に優れた人材が当社に入ってくれることが嬉しい。世界を覆うコロナ禍でも、ベトナム工場は決して止まらなかったのだ。

―― ローツェ最大の強みは何ですか。
　藤代　当社の場合は、装置メーカーであると同時に、サブコンでもあるのだ。これゆえに、TSMC、サムスンをはじめとする半導体メーカーにも直接コンタクトできる。これは非常に大きなメリットである。また、材料の変化や新技術の登場、さらにはカスタマイズの動向などの情報がいち早く手に入る。それゆえに、一歩先の未来を見通して製品開発ができることが強みであると言えるだろう。