商業施設新聞
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第297回

日鉄興和不動産(株) 執行役員 企業不動産開発本部 副本部長 加藤由純氏


年間200億~250億円の投資を遂行
板橋に延べ20万m²超の計画

2021/9/14

日鉄興和不動産(株) 執行役員 企業不動産開発本部 副本部長 加藤由純氏
 日鉄興和不動産(株)は、自社物流施設ブランドの「LOGIFRONT(ロジフロント)」を中心に、関東と関西で計6施設の開発実績を持つ。同社は年間200億~250億円の新規投資・2~3施設の開発という計画を着実に遂行して事業の拡大を図る。7月には東京都板橋区に用地を取得し、延べ20万m²超におよぶ開発を計画している。同社執行役員企業不動産開発本部副本部長の加藤由純氏に聞いた。

―― ロジフロントについて。
「ロジフロント越谷I」の外観
 加藤 2019年2月に竣工した「ロジフロント越谷I」(埼玉県越谷市)から同ブランドの展開を開始した。当社は、12年10月に新日鉄都市開発と興和不動産が経営統合し今の企業体制になった。統合前から新日鉄都市開発は物流開発を行っており、「板橋物流センター」(東京都板橋区)、「南大阪物流センター」(堺市堺区)を保有していたのだが、統合後、物流施設開発事業へ再参入する際、ブランドを作った。
 これまでロジフロントは「越谷I」「越谷II」のほか、「尼崎I」(兵庫県尼崎市)、「尼崎II」の4件を開発しており、9月末に「尼崎IV」が竣工予定だ。「越谷I」は私募ファンドに売却、それ以外は自社保有している。

―― 貴社の物流施設事業の特徴は。
 加藤 専用施設のBTS型が多いことだ。「越谷I」以外はすべてBTS型となっている。我々は再参入組で、後発組であり、他社と差別化を図らなければならない。そうしたときに、物流企業などテナントのニーズにしっかりと応えられる施設開発をする必要がある。従って、テナントが求めるものに合わせ、汎用性を保ちながらもニーズに合わせた施設づくりを行ってきた。
 一方で、開発スピードを上げるという観点で見れば、今後はマルチテナント型の開発にも積極的に取り組んでいきたい。

―― 独自の取り組みは。
 加藤 前述のとおりBTS型が多いので、施設を使うテナントが一番使いやすいであろう計画を立てる。オートメーション化にしても、テナント様がどういうものを導入したいのかを踏まえて、我々はその器を作っている。また「尼崎IV」は、昨今の温暖化、温室効果ガス削減に対応するため、屋根に太陽光発電システムを導入している。同施設では基本的に太陽光で発電したものを自家消費していただくが、足りない電力についてはCO2フリーの電気を仕入れ、施設全体としてクリーンなエネルギーというような仕組みづくりを行っている。

―― 開発エリア拡大の考えは。
 加藤 まだ中京圏に当社物流施設はないので、開発を行っていきたい。東名阪の3大都市圏は開発を強化していく考えだ。加えて、我々は“日鉄グループの遊休地を開発していく”という役割を担っており、全国に点在する日鉄グループの製鉄所や工場の遊休地、これから遊休化しそうな地方の土地でも、テナントからニーズがあれば開発を進めていきたい。

―― 今後の開発は。
 加藤 9月末に「尼崎IV」が竣工予定のほか、8月に「狭山」(埼玉県狭山市)が着工し、22年12月の竣工予定だ。また、10月には「尼崎III」が本格的な建築工事を開始し、23年1月に竣工予定。開発計画は年間200億~250億円規模の新規投資・2~3件の開発を掲げており、おおむね計画どおりに進捗している。さらに、21年内は「浦安」(千葉県浦安市)、22年は「厚木」(神奈川県厚木市)が着工を控え、23年度には「鶴見」(横浜市)、「板橋」(東京都板橋区)の着工を見込んでいる。

―― 「板橋」は都心部の大型案件です。
 加藤 既存の「板橋物流センター」隣接地で、日鉄グループ製鉄所跡地の約9万1000m²を入札により取得した。ここには、延べ20万m²超の施設を整備する予定だ。板橋は人口集積地でEC系を中心に物流倉庫として非常にニーズの高い場所だと認識しており、色々な需要が出てくるだろう。23区内でこれだけ大きな土地はなかなか出てこない。ロジフロント事業の飛躍につながるような開発を進めていきたいと思っている。


(聞き手・副編集長 若山智令)
※商業施設新聞2411号(2021年9月7日)(6面)
 デベロッパーに聞く ロジ革命 わが社の戦略 No.15

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