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第434回

(株)アドテックエンジニアリング 常務執行役員露光装置事業部長 竹田幸一郎氏


21年度は2割以上の成長
2μmL/S対応機を投入へ

2021/7/26

(株)アドテックエンジニアリング 常務執行役員露光装置事業部長 竹田幸一郎氏
 (株)アドテックエンジニアリング(東京都港区虎ノ門2-3-17、Tel.03-6369-9800)は、ハイ~ミドル~汎用までのあらゆる露光領域をカバーするプリント基板用露光装置メーカーだ。MSAP対応メーン基板やスマートフォン用AP(アプリケーションプロセッサー)向けのパッケージ基板のほか、自動車や通信機器向け汎用基板対応のダイレクトイメージング(DI)機に注力する。足元の受注環境や2021年度の事業展開について、同社の常務執行役員 露光装置事業部長の竹田幸一郎氏に話を聞いた。

―― 20年度(21年3月期)の事業を振り返って。
 竹田 新型コロナの影響は多少あったものの、20年夏場以降から全体的に装置需要が拡大した。ノートパソコンやサーバー向けを中心に中国や台湾で旺盛な基板の投資需要があり、関連するDIが好調だった。パッケージ基板関連でも活発な投資が継続して、先端DIが伸びた。特に21年1~3月期の出荷台数は過去最高レベルに上った。年間では前年度比横ばいの100台弱の出荷を果たした。

―― 主に売れた機種は。
 竹田 特に高性能パッケージ向けでは先端の回路形成用途のIP4/6の受注が拡大した。ボリュームゾーンとしては、汎用パッケージ基板向けにIP8/10も牽引した。また、マザーボード向けなどHDI/多層板向けなどはIP12/15が伸長した。大量生産向けに最適な、圧倒的な高生産性を追求したツインステージ構造を持った「IP―15UHT」は21年1~3月期に大量に出荷した。スマートフォン向けは一服感が出た印象だ。
 一方、コンタクト露光機も30台弱を出荷した。光源はすでに従来の水銀ランプから、メンテナンス費用が削減でき環境にも優しい、LED光源に切り替えを完了している。

―― 主力DI製品の受注の動きを教えて下さい。
 竹田 高い生産性が特長であるハイエンド機IP4は、ライン/スペース(L/S)4μm/4μm対応で20年度から先端パッケージ基板向けに受注が堅調だ。最先端のパッケージ基板(BGA/CSP)用途で、ETS(エンベデッド・トレース・サブストレート)やSAP(セミアディティブ)などに最適だ。メモリー向けのFCCSP基板やAiP基板といった分野にも投入されている。IP6もビアなどの位置合わせ精度が要求される領域で採用事例が増加している。20年6月にリリースした最も高生産性を誇る「IP-15UHT」の出荷も本格化してきた。L/S15μm/15μmの回路形成が可能で、かつ400枚強/時の高生産性を実現し、お客様の業績向上に貢献できると期待している。
 それぞれの機種には、基板の反り、うねりによる高さ変化や凹凸に対応する当社独自技術のワイドレンジ・オートフォーカス機能が搭載されており、ピントずれすることのない高精度な露光が可能となっている。

―― 足元のビジネス状況と21年度展望を。
 竹田 巣ごもり需要でPCやサーバー用途向けメーン基板など、旺盛な需要が依然継続している。車載用や5G基地局向けなども回復基調にある。スマホも回路の微細化が進展すれば、DIの新規の追加導入も発生する。ミリ波など本格的な5G対応端末の需要も期待できる。長岡事業所での生産能力の増強施策も講じており、好調な受注の続くDI事業において前年度比2割以上(金額ベース)の成長を目指す。

―― 次世代の先端パッケージ用のDE―2をいよいよ市場投入しますね。
 竹田 L/S2μm/2μm、オーバーレイ≦1μmのΦ300mmウエハーがターゲットになる。マルチダイやファンアウト(FO)WLPなど先端パッケージ向けの再配線形成に適したDI装置となる。その後、600mm角のFOPLPにも対応し、シリコンインターポーザーやガラスインターポーザーのさらなる細線化に対応する。装置は完成しており、近く納入を開始する。さらに先端有機サブストレート基板への適用も進めている。
 20年10月には、FOWLPなどの先端パッケージ技術で先行する米国デカ・テクノロジーズ社と微細回路の形成技術で強力なパートナーシップを結んだ。特にデカ社が展開しているアダプティブ・パターニング技術は、チップのずれに合わせて臨機応変に配線を形成できるので、微細な回路でありながら高歩留まりを実現できる。チップレットなどの技術にも対応し、より難易度が向上する次世代の大型先端パッケージ基板の開発や量産化に貢献していきたい。

―― 長岡事業所の拡張を決めました。
 竹田 現在受注の好調なプリント配線板向けのDIの生産能力を大幅に引き上げる。生産能力は既存の1.4倍まで増強する。21年5月の連休明けから一部ラインを稼働させている。購入建屋はもともと半導体製造装置の組立工場で、クリーンルームが整備されていたので、比較的早く工事が進んだ。足元では5G通信対応などで、高速大容量対応のスマートフォンならびにデータセンターなどの開発・製造が進んでいる。高性能パッケージ基板をはじめとした高密度プリント配線板の旺盛な需要に対応できると考えている。


(聞き手・特別編集委員 野村和広)
(本紙2021年7月22日号5面 掲載)

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