東京五輪まで100日を切った。本来であれば2020年7月に開催されるはずだったが、新型コロナウイルス感染拡大のため1年延期になり、今のところは21年7月23日に開催される予定だ。東京五輪の招致が決まったのは2013年9月。ここから20年に向けての準備が始まったわけだが、特段盛り上がっていたのがスポーツクラブ業界だと思う。それと同時に、様々な業態も開発され、人々の生活に定着していった。
これまでのスポーツクラブといえば、マシンなどを備えたジムエリアにプールが付いたものが一般的で、男性客がメーンだった。それがヨガやピラティス、ダンスなどを行うスタジオ系エクササイズが人気になり、女性客の利用も大きく増加していった。また、暗闇の中で行うバイクやボクシングのエクササイズなども海外から上陸してきたほか、低酸素状態をつくり、その中で運動を行うことで高地さながらの負荷をかける高地トレーニングも最近は流行しているようだ。
あるスポーツクラブの社長は、数年前まで「当社は総合型スポーツクラブをメーンとする事業展開は変えない、小型やある機能に特化した業態の開発は考えていない」と話していたが、今はその企業もしっかり小型店を展開しており、やはり利用者の声、ニーズの高さには敵わなかったのだろう。
24時間営業ジムはニーズが高い
(写真はファストジム24雑色店)
そして、何より増えたのが24時間営業のジムではないだろうか。一昔前なら、セキュリティ面の不安や、企業側からすれば利用者が少なくコストパフォーマンスがあまり良くないと思っていたところも少なくない。だが、いわゆる人々のライフスタイルの変化によって、24時間営業の需要が高まり、今ではあちこちで見かけるようになった。多くの24時間営業店の場合、ジム機能単一のものが多いが、筆者的にはそれで十分だと思う。セキュリティ面も昔に比べればだいぶ良くなり、安心安全に利用することができるようになった。
一方、わざわざ24時間営業の新店をつくらなくても、既存店のジムエリアを24時間営業化したり、中にはスタジオも24時間営業とするところも存在する。また、24時間化という点で言えば、オンラインフィットネスも各社が取り組み始めた。これは言うまでもなく新型コロナウイルスの影響で実店舗に通えない人に向けた新しいサービスなのだが、意外と好評なようで、配信プログラムを増やしたり、より運動効果の高いメニューを提供するなど、各社サービスの拡充を図っている状況だ。
新型コロナウイルスをはじめ、社会構造の変化で様々な変化を遂げているスポーツクラブ業界だが、今のところ実にうまく、時代にフィットした形で進化を続けていると思う。東京五輪がどうなるかは、現時点では不透明だが、人々が運動、健康に対する意識をさらに高くし、無事に東京五輪が開催されれば、またスポーツクラブ業界は活況となるだろう。