電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第421回

シークス(株) 代表取締役社長 柳瀬晃治氏


23年度売上高2500億円へ
車載・産業機器をさらに強化

2021/4/16

シークス(株) 代表取締役社長 柳瀬晃治氏
 シークス(株)(大阪市中央区備後町1-4-9、Tel.06-6266-6400)は、国内トップ、世界17位のEMS企業で、商社機能、プラスチック成形・金型製造工場を併せ持ち、顧客企業の様々なニーズにワンストップで対応できることが強みだ。2021年度から新たな中期経営計画がスタートした。代表取締役社長の柳瀬晃治氏に今後の事業展望を伺った。

―― 20年12月期を振り返って。
 柳瀬 売上高は18.6%減の1815億9800万円、営業利益は19.1%減の44億5200万円であった。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、1月末ごろから中国の3工場において、3月以降は米州、欧州、東南アジアの主要工場でロックダウンや自治体からの要請による自粛で1~2カ月の稼働制限を強いられた。また、1~6月期は、品種別で産業機器は若干の減少にとどまったものの、車載関連機器、家電機器が大幅に減少した結果、前年同期比29.5%の減収となったが、7~12月期は7.3%減収へと圧縮した。景気が低迷した上期であったが、部品調達、製造、納品まで大きな支障をきたしたことはなかった。また、ロックダウン時に固定費を見直し、約10%生産効率を改善することができた。さらに財務面では、手元資金を確保するため、6月に社債発行により100億円を調達した。これに加えて総額100億円のシンジケートローン契約を締結した。

―― 今期予想は。
 柳瀬 車載関連で274億円増の1244億円、産業機器は微減の337億円、家電機器26億円減の201億円、情報機器65億円増の222億円などにより、売上高2100億円、営業利益68億円を見込む。

―― 設備投資について。
 柳瀬 車載用がメーンのジャカルタ工場第1棟に9ラインを設置しておりほぼフル稼働のため、9月完成予定で第2棟の建設を進めている。第1棟、第2棟ともに総2階建てで、第1棟と31ラインまで設置が可能な第2棟と合わせて計40ラインの設置が可能となる。9月から両棟合わせて11ラインで稼働を開始する。今期の投資額は、ジャカルタ工場10億円強、中国3工場25億円、アジア他のエリア14億円弱、日本5億円強、メキシコ10億円、欧州10億円など計約80億円を予定している。

―― 新たな中計がスタートしました。
 柳瀬 前中計では、18年にメキシコ拠点の需要急拡大への対応によるコスト増、19年に米中貿易摩擦による関税の一時的増加と回避のための生産地移管、さらに中国景気後退、20年にコロナ禍による稼働低下と全世界的な需要減と、厳しい環境の3年間であった。そうしたなかでも、新規顧客獲得数はロバート・ボッシュを含め104社と目標の100社をクリアした。また、非日系顧客向け売上比率は目標の20%に対し未達ではあったものの、17年9%から13.6%へ上昇した。非コモディティー分野(車載、産業機器)向け売上比率目標の80%に対し、73.2%の結果であったが、17年67%から増加しており、努力が実った。新中計においては、最終年度の23年に売上高2500億円、営業利益105億円を目標に設定した。

―― その達成のための具体的な戦略は。
 柳瀬 (1)大手グローバル企業との取引拡大、(2)ビジネスでの脱炭素社会への貢献、(3)ダイバーシティー経営の推進の3つの事業目標を掲げ、(1)のKPI(重要業績評価指標)として、非日系顧客への売上比率を25%とする。例えばボッシュとは、ハンガリーおよびタイにおいて、実質的に20年第3四半期から基板実装品の供給を開始したが、今後10年で他地域においても急拡大が見込まれる。さらには、ボッシュのみならずグローバルに展開する大手ティア1とのビジネスの拡大にも対応していきたい。このほか、(1)のKPIとしては、テクノロジーパートナーとのアライアンス強化により売上高50億円を上乗せし、医療機器向けも50億円(前年度は20億円)を目指す。
 (2)のKPIとしては、非コモディティー比率の85%(車載70.8%、産業機器14.1%)とともに、CASE関連で350億円、バッテリー関連で100億円を上乗せする。(3)のKPIとしては、現地主導で管理するローカルマネジメント比率が78.9%に達し、これにより今回のコロナ禍においても供給が継続できたが、これを80%へ引き上げる。また、女性幹部比率を50%に引き上げる。

―― テクノロジーパートナーとは。
 柳瀬 光学関連・センサー、通信・IoT、ロボティクス、原材料・素材、エナジーマネジメントの各分野のパートナー企業との協業により部品供給・EMSのみならずOEM製品の設計開発から請け負っている。例えばシンガポール政府から新型コロナウイルス感染症対策用の追跡デバイスの開発・製造を請け負った。また、ロボット分野では、警備や除菌ロボットの提供を行っている。IoT分野では、各種スマートメーターの自動検針サービス、高齢者見守りサービスなどスマートシティーへの取り組みも行っている。当社の出身母体であるサカタインクス(株)の導電性インキおよびIHリフロー技術による低耐熱・高放熱素材への新しい実装技術にも期待している。この実装技術により、プラスチック、ガラス、紙にも回路が形成でき、デジタルサイネージ、コネクテッドカー樹脂軽量化、IoTセンサー・5Gアンテナ、ウエアラブル分野に新しいソリューションを提供できると考えている。

―― 最後に貴社のアピールを。
 柳瀬 『グローバルビジネスオーガナイザー』として、世界のリソースを有効に活用することで、ニーズを形にし、マーケットインを実現できる企業であると評価されている。大きな製品となるとボード1枚に約3000点の部品を実装するが、図面さえあれば、当社で調達から実装まで完結できる。また、1つのオーダーで、世界複数拠点で同時に生産立ち上げもできるとの評価をいただいている。お困りごとがあれば、気軽にお問い合わせ下さい。

(聞き手・大阪支局長 倉知良次)
(本紙2021年4月15日号3面 掲載)

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