商業施設新聞
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No.802

大型再開発と屋外広場


北田啓貴

2021/4/13

 コロナ禍に伴う最初の緊急事態宣言が発令されてから4月で約1年が過ぎた。在宅勤務など生活習慣が変化する中で、従来以上に屋外広場に注目するようになった。感染防止のために、換気に優れ、三密が避けられるというのが大きな理由だが、筆者自身、1年半前から健康のためにウォーキングを始めてから外の空気や太陽を浴びながら過ごすことの快適さを知るようになったことも要因のひとつだ。

JR三ノ宮駅前にある「Street Table Sannomiya」
JR三ノ宮駅前にある
「Street Table Sannomiya」
 その上で、取材先からの往復などで屋外広場があれば、休日などに訪れる目的でチェックしている。すると、最近大型の再開発計画で新たな屋外広場がいくつか新設されることに気がついた。最初に発見したのが、JR三ノ宮駅前にある「Street Table Sannomiya」だ。所在地はもともとJR西日本グループの再開発プロジェクトに伴い解体された「三宮ターミナルビル」があったところ。9月26日までの期間限定で、飲食関係のイベントや神戸の素敵なショップやアート、カルチャーが集まる「ストリートマルシェ」などが開催されている。加えて、ジャズからロックまで様々なジャンルのアーティストを呼んだライブも開催されており、快適な空間が創出されている。なお、「三宮ターミナルビル」跡地に開発する予定だった新しい駅ビルについては、コロナ禍に伴うJR西日本グループの業績悪化の影響で、建物規模などの見直しを行っており、新たな整備計画が完成する見通しは立っていないという。

緑の芝生がきれいな「うめきた外庭 SQUARE」
緑の芝生がきれいな「うめきた外庭 SQUARE」
 そして、もう一つは2027年度の全体開業を目指して工事が進んでいる「(仮称)うめきた2期地区開発事業」区域にて、先行開業している「うめきた外庭 SQUARE」だ。最初にこの広場を知ったときは、きれいな芝生があって、テーブルなども設置されていたので、「太陽光を浴びながら寝転がったりして過ごせるな」と思い、注目していた。この広場は「(仮称)うめきた2期地区開発事業」で展開する街づくりの実証実験を行う活動拠点として、23年3月までに関西・大阪の国際競争力強化に資する先進的活動の実現に向けて様々なことにトライアルするという。

 こうした大型再開発計画が進んでいるエリアに屋外広場ができるメリットは、空間の有効活用という意味合いだけではない。大型の再開発計画は仮囲いなどを設置することで、通路が狭くなったり、導線も変わるなど、開発過程では不便なこともある。こうした屋外広場により事業をポジティブに知ってもらうかもしれないと考えている。今後もこうした屋外広場に注目していくと同時に、1日も早くコロナ禍が収束して、安心して飲食したり芝生の上で寝転がったりしたりすることができる日がくることを願ってやまない。
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