商業施設新聞
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No.799

韓国で常態化が懸念される日本製不買運動


嚴在漢

2021/3/23

 2019年7月、安倍政権が発動した半導体向け材料3項目に対する韓国輸出管理の厳格化から始まった、韓国国内における日本製商品の不買運動は、1年半が過ぎた現状でも鎮静化しないまま継続している。

 不買運動の代表的なターゲットはコンビニにおける「日本産ビール」といえよう。日本産ビールは、不買運動の前までは韓国コンビニ業界において、売上高ベースでタバコに次ぐ第2位をキープするほどの大人気を呈していたものの、いまは底知らずの勢いで失墜している。

閑散としたソウル明洞の旧ユニクロ店舗の前
閑散としたソウル明洞の旧ユニクロ店舗の前
 あるコンビニチェーンの20年通年(1~12月)業績の詳細を見てみると、19年に前年比2.3%増であった日本産ビールの売り上げ伸び率は、20年には同93.9%減と急落しており、21年2月累計でも前年同期比70%強減少した。日本産ビールの代わりに、韓国産ビールや欧米から輸入したビールなどが穴埋めしている。特に、不買運動のメーンターゲットとなったユニクロの苦境は尋常ではない状態だ。同社は21年2月だけで、韓国で10店を閉店した。

 日本製の不買運動の初期には「怒りに近い世論による一時的な現象」(韓国ファッション業界筋)という観測があった。だが、1年半も持続していることから「不買運動はもはや突然の変数ではなく、常態化した現象とみるべき」(前同)と分析している。

 このような韓国消費者の冷淡さに、流通業界も日本製の商品を敬遠する状況が多発している。日本からの商品を陳列棚に並べても売り上げにつながらないうえ、消費者の反感を買うリスクにさらされるためだ。こうした動向は、eコマース業界に著しく表れている。韓国大手ショッピングモール企業は、不買運動開始直後に嫌韓発言などで韓国消費者から不興を買ったDHC通販(東京都港区南麻布)などの日本ブランドを対象に、一定程度の制裁措置を続けている。例えば、インターネット上の検索窓に直接、DHCの商品名を入力ても露出されないようにするほか、日本の商品を一切取り扱わないeコマースも存在する。特定の商品を意図的に検索対象から外す行為は、法的に問題となることもあり、商品の多様化の面からも望ましくない。しかし、「日本製の商品の販売サイトという烙印を恐れている」(韓国流通業界に詳しいあるアナリスト)と語る。新型コロナ感染拡大により消費自体が冷え込む中で、不買運動の常態化による2重苦に晒されている日本企業が、今後韓国市場をどう捉えていくのかが注目される。
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