商業施設新聞
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No.417

物販業態と車の相関関係


松山 悟

2013/7/16

標準店舗の「ディスカウントドラッグ吉田南店」(福岡県水巻町)
標準店舗の「ディスカウントドラッグ吉田南店」(福岡県水巻町)
 九州エリアで、「コスモス」「ドラモリ」が積極的な店舗展開を進めている。コスモスはコスモス薬品のディスカウントドラッグコスモス、ドラモリはナチュラルのドラッグストアモリのことだ。両店とも「薬・化粧品+食料品」の業態で、標準的な大きさは店舗面積1200~1500m²。ワンフロアなので店内全体を見渡すことができ、どこに何があるかがわかりやすい。商品を売れ筋に絞り、低価格で提供している。生鮮3品を扱わないので、オペレーションも小人数で足りている。

 見ていると、地元の人たちは買い忘れた商品をまた買いに来たという感じで気軽に利用している。その使い勝手の良さは、車に例えるとまるでコンパクトカーの「ヴィッツ」や「フィット」みたいだ。大店立地法の対象になるほどの大型店だから、軽自動車には当たらない。

 こんなふうに、物販の業態をいろいろな車種に置き換えてみたらおもしろそうだ、とふと考えた。

 軽自動車に例えられる店は、やはりコンビニエンスストアだろう。近年、軽自動車の車種はバラエティに富んでおり、さらに安全性も向上して、税金も格安だから売れている。コンビニが、市街地の交差点ごとに乱立するがごとくに売れている。セブンとローソンは、さしずめホンダとスズキの関係だろうか。某コンビニの開発部門から、他社のコンビニを挟んで出店し、撤退に追いやるという話を聞いたことがある。コンビニ市場の競争は大変厳しい。

 チェーン展開するスーパーマーケットは、「カローラフィルダー」だろう。カローラは昔よりも大きくなったが、その分乗り回しがコンパクトカーほどよくない。しかし、なにかと便利は良い。スーパーには、生鮮3品があり、店内にパン屋さんがあったり、クリーニング店があったりする。マックスバリュにはマツモトキヨシを併設する店舗も多い。

「イオンモール福津」のトイレ。セパレートになっている
「イオンモール福津」のトイレ。
セパレートになっている
 さらに続けると、私の考える三越は「ベンツ」で、伊勢丹は「BMW」、パルコは「ミニクーパー」、地場百貨店は「クラウン」といったところ。ここらで、どこからか文句が聞こえそうだが続ける。ホームセンターやDSはハイエースやRVかトラック。紳士服専門店は「タント」や「Nボックス」。アウトレットは外車の中古車センター。ハイブリッド車は各車種で増えているが、物販でいえば、プライベートブランドの有無のような価値観になろう。最近はトイレまでゴージャスなイオンモールは、車というより豪華客船といいたい。

 さて、通販は何だろう。知人の奥さんがテレショップ「ジャパネットたかた」のファンで、体重計が紹介されれば、家に体重計があるのに買っている。ジャパネットたかたで見る商品はできるならすべて買いたいという、とその知人は愚痴っていた。彼女にとっての通販は、年中無休でプレゼントを運んでくる「トナカイのそり」である。
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