推算事業費31兆ウォン(約2兆8182億円)規模の韓国史上最大開発プロジェクトといわれた「龍山国際業務地区開発事業」が、結局、事業清算の手続きに突入した。事業開始から6年目の出来事だ。
コレイル(韓国鉄道公社)は、去る4月8日、理事会を開催し、開発主管先のドリームハーブとの事業協約を解約し、龍山開発事業を公式的に清算することにしたと明らかにした(最終解約通知は4月29日)。
同プロジェクトに参画し、資本金を出資した29の民間出資者は、1兆ウォン(約909億円)に達する投資金が空中分解される危機に遭遇している。筆頭株主であったコレイルは、多額の損失を被り、経営にも赤信号が発している。
特に、同開発地区に住むソウル市龍山区西部二村洞住民は激怒しており、ソウル市とコレイルなどを相手取り、損害賠償の訴訟を起こすという。開発に賛成していた西部二村洞の11の地域住民は、「事業の正常化のための方策作りと住民に対する補償を最優先すべきだ」と求めている。
住民らは、当初、2010年に補償と移転を完了するというソウル市の説明を信じ、移転のための銀行貸し出しをうけたが、開発が遅延し、借金返済ができなくなった。精神的かつ経済的な苦痛に対する損害賠償の請求訴訟を起こしているのだ。同地区に30年間以上住んでいるある住民は「コレイル本社に行って自爆したい心境だ」と嘆く。
したがって、今後、同プロジェクトの失敗に対する責任問題と損害賠償を巻き込んだ前代未聞の訴訟合戦が勃発することは避けられない見通しだ。コレイルをはじめとする29の民間出資者は資本金として1兆ウォンを出資。コレイル2500億ウォン、ロッテ観光開発1510億ウォンなどである。この資本金はその間、土地代金の貸し出し利息などに費やされて、一銭も残っていない状態だ。
訴訟合戦は大きく、コレイル対29の民間出資者の構図に展開する見込みだ。事業清算の決定的な原因が両者の熾烈な主導権争いにあったためだ。両者は事業主導権を握るために、去る2年間、事業方式と事業費をめぐって激しく対立してきた。今回の訴訟を担う法務法人は、「訴訟規模は2000億ウォンに肉迫する」と予測している。
龍山国際業務地区の開発プロジェクトは、開発当時、摩天楼を夢見るある政治家と、政治的なパフォーマンスに翻弄された公社や漠然としたバラ色の収益見通しを出した開発業者、目の前の利益だけに興奮した一部の住民らが合作した、韓国最大の蜃気楼だったという皮肉が連日のトップニュースを飾っている。