経営再建中のルネサス エレクトロニクス(株)は、2月22日付で社長交代の人事を発表した。赤尾前社長に代わり、新たにルネサスのトップに就くのが鶴丸哲哉氏だ。社長就任前は生産本部長を務めるなど、これまで一貫して生産畑を歩んできただけに、今回の人事は業界内では意外性をもって受け止められた。産業革新機構を中心とするコンソーシアムからの出資が完了する2013年9月までのショートリリーフとの見方が多いなか、今後の新しいルネサスにどういった道筋をつけていくのか。同氏に再生プランを聞いた。
―― 社長就任にあたり目指すべき方向性は。
鶴丸 まず、私がどんな会社にしたいかと考えたときに、大きく2つあり、(1)顧客やサプライヤーから愛される会社、(2)従業員が明るく働ける職場であることが目指すべき方向性だと思っている。
―― 変更の内容とは。
鶴丸 執行役員の削減や刷新などマネジメント体制の変更を行ったほか、事業体制も見直しており、両者に共通するのは組織の簡素化だ。これまで当社は、顧客から見て「遠い存在」や「顔が見えない会社」とよく言われていた。これは組織が複雑化していたことが要因の1つであり、ルネサスを「見える会社」に戻すことを目的としている。
―― 組織変更以外で見直す点は。
鶴丸 安定して利益体質を確保する方法論の1つは、売り上げ計画の着実な遂行、もう1つは投資の効率化だ。当社では開発投資など投資効率に対する考え方が甘いところが多く、社内でもあまり議論がなされてこなかった。さらに、投資の回転率にも注意を払っていきたい。これは開発からリターンまでの期間をいかに短縮化していくかという意味だ。
(聞き手・本紙編集部)
(以下、本紙2013年4月3日号1面)