商業施設新聞
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No.371

静岡の「B級グルメスタジアム in エコパ」


笹倉 聖一

2012/6/19

B級グルメで賑わうエコパスタジアム
B級グルメで賑わうエコパスタジアム
 静岡県の食文化を通して、ふじのくに「伊豆・駿河・遠江」の魅力を宣伝し、町おこしにもつながる食の祭典「2012 B級グルメスタジアム in エコパ」が、袋井市のエコパスタジアムで5月19~20日に開催されたので行ってみた。静岡県は、富士宮やきそばが06~07年に連続して全国大会で優勝して以来、B級グルメの総本山を名乗っている。富士宮焼きそばのほかにも、静岡おでん、浜松餃子などのように、知名度が全国級に達しているものはさておき、今回は富士つけナポリタン、袋井宿たまごふわふわ、裾野水餃子など、不思議な食感と味の体験を連想させる料理に着目してみた。

富士つけナポリタン
富士つけナポリタン
 富士つけナポリタンは、麺とスープが別々のパスタ料理で、スープはトマトを基本にした赤橙色のWスープとして出された。食べ方は、パスタ麺をWスープにつけて食べるつけ麺スタイル。Wスープを構成するトマトの他方の食材に何を使うのかは、各店の裁量に委ねられており、鶏がら、豚がら、コンソメ、ブイヨン、魚介(桜海老、エビ、イカ、ホタテ)、旬野菜、きのこなどを自由に使って、味付けしている。
  この料理は、富士市の吉原商店街とテレビ番組が協力して、ご当地グルメとして開発したもの。吉原商店街には20店弱、富士市内には20店以上のつけナポリタン店がひしめいており、店の数だけWスープの種類がある。会場で食べたつけナポリタンは、トマトの味が濃厚で、隠し味が何なのかよく分からなかったが、濃い味好みの私には美味しかった。

袋井宿たまごふわふわ
袋井宿たまごふわふわ
 袋井宿たまごふわふわは、だし汁の上にふわふわした卵を乗せる料理として出された。材料は、卵とだし汁だけの簡素な料理なのだが、確かに「ふわっ」とした食感の不思議な卵が、個性の強いだし汁に乗っており、風味豊かな味に仕上がっている。
  こちらは、江戸時代の「袋井宿」の名物料理を再現したもので、京都二条城で開かれた将軍家の饗応料理の献立の一品でもあり、当時は武士や豪商が食した高級料理だったという。袋井市内には、江戸時代の味の再現、また今風の新味の創作による店が20店近くあり、これも店によって様々な味の特徴がある。

 富士山の裾野にある裾野市の水餃子は、同地特産の「モロヘイヤ」を餃子の皮に練り込んで、緑がかった色の珍妙な餃子である。アラビア語で「王様の野菜」を意味するモロヘイヤは、食物繊維、ミネラル、ビタミン、カルシウムなどを豊富に含み、栄養価が高い。スープ餃子、鍋料理、ラーメンに入れて食べる。会場で食べた料理は、春雨によく似た透明で細い食材の食感が印象的だった。
  裾野市の餃子取り扱い飲食店数は、市民1万人当たり6.04軒で、宇都宮市の4.45軒よりも多いという。意外な場所に餃子の街を発見した。

 このほかに、西伊豆「汁なししおうどん」が、鰹などの和食材の種類と味がきめ細かで、食通をうならせる味わいを披露した。

 今回の催し(2日間)は、静岡県グルメ26種類、県外グルメ7種類、特別出展グルメ3種類を集めたのだが、なんと一番長い行列を作ったのは福島県いわき市の「うにの貝焼き」だった。行列は、被災地への義援や応援のためにできたのではなく、高級なうに料理が500円で食べられるという正直な理由によるもので、地元静岡県の並居る強豪B級料理も圧倒されていた。
  日進月歩で進化するB級グルメ料理は、日本各地の地方色を豊かにし、外食産業、旅行産業の刺激策にもつながり、さらに食べた者をも元気にする。次のB級グルメ会場はどこだ。
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