2012年度は、日本の電機・半導体産業にとって大きな試練の年となる。国内電機業界の将来展望が描きにくい状況下、エレクトロニクス部門でしっかりと収益を確保し、孤軍奮闘の感のある東芝は、NANDフラッシュメモリーの微細化でライバル企業を圧倒し、最強のコスト競争力を誇る。より付加価値を追求し、ソリューション型の半導体ビジネスに大きく舵を切ろうとしている(株)東芝 セミコンダクター&ストレージ社社長の小林清志氏に、13年の半導体事業戦略を聞いた。
■ビット成長は最悪30%台
―― 足元のNANDの市況・受注状況から伺います。
小林 決して良い状況とはいえない。昨年7月から3割の生産調整に入り、価格上昇の一応の効果はあった。10~12月期は7~9月期ほどの減産幅ではなかったが、多少の生産調整を継続した。13年1~3月期も場合によっては調整が必要になるかもしれない。常にマーケットと対話しながら注意深く市況の動きを追っていく。自ら供給過剰を起こすようなことはしない。
―― 13年の業界ビット成長をどう見ますか。
小林 これは大変難しい。供給サイドとしては30~50%と見ている。最悪の場合は30%台もありえる。当初いわれていたビット成長になるとは考えていない。明らかに他社を含めて投資が抑制されている。
―― 依然、円高の状況は変わっていません。厳しい競争環境下にありますが。
小林 これには徹底したコストダウンしかない。四日市工場で微細化を継続する。すでに世界最先端のプロセスノードを誇る19nmは、12年12月時点で生産量全体の90%に達した。1Yの投入は3月末を目標に実施したい。
(聞き手・本紙編集部)
(以下、本紙2013年1月9日号1面)