(株)オアシスライフスタイルグループのグループ会社である(株)オアシススタイルウェア(東京都港区北青山1-2-3、Tel.03-6365-0492)は、スーツに見える作業着「ワークウェアスーツ(WWS)」を展開している。ポップアップストアやECでの販売のみならず、9月8日には初の常設店舗を東京・八重洲地下街に出店し、順調に事業を拡大している。オアシスライフスタイルグループCEOの関谷有三氏に話を聞いた。
―― ブランドの概要から。
関谷 グループ会社である水道工事業の創立10周年を記念して、ユニフォームを刷新したことからWWSは生まれた。スーツの見た目をしているが、機能性は作業着そのもの。速乾で撥水、ストレッチも効き、そしてTシャツなどの衣類と一緒に普通に洗濯できるというのが大きな特徴だ。コロナ禍においても、毎日洗えるということが感染防止になるとネットで話題になり、多くのお客様が購入してくださった。
―― 今回、初の常設店舗をオープンしました。
関谷 通常はEC販売がメーンであり、今後もECを中心に展開していく予定であるが、お客様に実際に商品を見て触っていただく場を設けたいと考えていた。百貨店やセレクトショップへの卸事業も行っているが、商品の全ラインアップを取り揃えているのは八重洲地下街店だけである。
またWWSは種類も少ないため、一度店舗で購入していただけたら、次からはECで買ってもらうことを推奨していく予定だ。大きなモデルチェンジも行わず毎年ほぼ同じ商品を販売しているので、ECでも安心して購入していただけると思う。
―― 既存のアパレルとは違った事業戦略です。
関谷 我々はもともと、異業種からの参入であり、既存のアパレル会社のようなビジネスモデルを踏襲していない。大きな違いで言えば、セールを行わず同じ商品を販売し続けるので廃棄がないこと。素材も自社で開発した1種類のみを使用しているため、機能性も保持しつつも値段も現状をキープできている。
コロナによって、洋服に対する消費活動や価値観が変わってきていると感じており、シーズンごとに新しい服を買うよりも、「シンプル」かつ「長く使えて機能的」な服に関心が集まってきている。WWSは、そういった消費者のニーズに合致した「ニューノーマル」な服であるだろう。
―― 客層については。
関谷 WWSは、10~70代と顧客層が広いのも特徴だ。70代のタクシー運転手の方や、原宿にいるオシャレに敏感な若い人も同じWWSを購入しており、こういった商品はあまりないと思う。もともとはメンズ商品がメーンであったが、最近は女性客も増えており、割合としては6対4程度になってきた。今後も女性向けの商品を拡充していく方針で、ノーカラージャケットやシャツワンピース、ジャンプスーツなどを開発し、積極的にアプローチしていきたい。
―― 店舗展開について。
関谷 店舗を多く出すと、その分だけ商品を値上げしなくてはならなくなるため、直営店は15店までと決めている。我々が運営する直営店は、Appleにおける「Apple Store」のような位置づけであり、あくまでも販売はECがメーンだ。
店舗のショールーム化も進めていく予定で、来年新宿にオープンする店舗は完全にショールームとして運用していく。さらにバーチャル店舗の旗艦店も作成予定で、オンライン接客やライブコマースなどを展開し、実店舗と同じくらいの満足度を得られるサービスを提供していきたい。
―― 今後の展望は。
関谷 前期の売り上げは約3億円であったが、今期は10億円、来期は25億円を目標に掲げている。またユニフォームとしては現在600社ほどでWWSを導入していただいているが、来期は1000社突破を目指す。デベロッパーからの評価も高く、来年は常設の旗艦店を5店出店予定だ。3年で15店出店する計画で、リアルとバーチャルの両方で顧客とのタッチポイントを創出し、相乗効果を早期に生み出していきたい。
また、ユナイテッドアローズの名誉会長である重松理氏にオアシスライフスタイルグループの顧問として個人で在籍していただいており、今後も重松氏とタッグを組みながら、多くの人がアッと驚くようなことを行う予定だ。重松氏からも、WWSが今後の時代の中心になるのではないかと言われており、アフターコロナを象徴するようなブランドになりたいと思っている。海外進出もすでに決定しており、「アフターコロナ時代の服はこれだ!」と世界にも発信していきたい。
(聞き手・新井谷千恵子記者)
※商業施設新聞2366号(2020年10月13日)(5面)