水族館が好きである。この言葉だけを残して去りたいが、そういう訳にもいかないので、自分なりに水族館が好きな理由を考えた。考えれば考えるほど難しく、正しい答えが導き出せない。暗い闇に葬られたようである。深海魚になった気分でもある。
元々、魚が好きかと問われれば、食べるにしても見るにしても、そこまで好きではないし、若い頃は水族館には、まったく興味がなかった。どちらかといえば敬遠していた部類である。
年を重ねるにつれて恐らくあの「脱力感」が好きなのであろうと気づいた。薄暗い館内、大きな水槽、回遊する魚たち、三位一体となって織りなす世界観は非日常的で、現実逃避をさせてくれる。泳いでいる姿だけ見るとストレスとは無縁の世界にいる様である。魚たちはそんなこととは知らず、気ままに泳いでいるのだが、そんな姿が愛しく感じるようになった。
ボーっと眺めているだけでそれなりに楽しめるし、水槽の横には丁寧に説明書きもされており、それを読めば知識も得られる。いいことづくめなのである。
筆者オススメの水族館は新江ノ島水族館で、都心から行くには少し遠く、入館料も割高だが、そこは魚たちの食事代を賄っていると思って、太っ腹にいきたいものだ。館内は数種類のゾーンに分かれており、王道なものからニッチなものまで取り揃えている。クラゲだけを展示したクラゲファンタジーホールや、日本初の本格的な有人潜水調査船展示など、魚だけではない展示が大いに楽しませてくれる。季節に合わせたイベントも多彩で、クリスマスシーズンの今は「海月の宇宙~メリークリスマス~」と銘打ったクラゲショーが開催されている。
イルカショーも同水族館の目玉の一つである。イルカたちのアクロバットなアクションは子どもだけでなく、大人も楽しめ、帰りの話のネタになること間違いなしである。色々な水族館のショーを見てきたが、個人的には同水族館が最も印象に残っている。
そんな筆者も最近は水族館に行けていないので、近々現実逃避に行こうと思う。