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第387回

ミネベアミツミ(株) 執行役員 半導体事業部 事業部長 矢野功次氏


巣ごもり需要で保護IC好調
工場フル稼働、国内8インチ取得へ

2020/8/14

ミネベアミツミ(株) 執行役員 半導体事業部 事業部長 矢野功次氏
 ミネベアミツミ(株)は、2017年にミネベアとミツミ電機が経営統合して発足した。このほど、同じアナログ半導体事業を展開するエイブリック(株)がグループ企業となり、アナログ半導体市場で第3位のポジションを獲得した。執行役員 半導体事業部 事業部長の矢野功次氏に事業の状況や計画などを伺った。

―― コロナウイルスの業績への影響について。
 矢野 19年度の半導体事業の業績は、売上高が前年度比115%、営業利益が同170%だった。第4四半期(1~3月期)は、幸いなことにコロナの影響を受けなかった。20年度(21年3月期)は売上高が同116%、営業利益が同120%を計画していたが、コロナだけでなく米中貿易摩擦問題も引き続きあり、先が読めない状況だ。とはいえ、少なくとも19年度並みは堅持していく。
 第1四半期(4~6月)の業績は、当初の計画値は下回ったが、前年同期並みで着地した。採用製品によって濃淡がある状況で、すべてがコロナによって停滞したというわけではない。
 足元の市況については、FA向けで動きが出始めている。年末の製品展開に向け、中国の工場が動き出したという感触がある。

―― 半導体のコア事業として、(1)電池、(2)センサー、(3)電源、(4)IGBTの四本柱に注力しています。事業の状況を。
 矢野 (1)電池保護ICについては、19年から拡大傾向にあったヒアラブル製品が、いわゆる「巣ごもり需要」によってさらに伸びている状況だ。また、タブレットの需要も増えたことで千歳工場はフル稼働が続いている。一方で、スマートフォン(スマホ)向けは米中貿易摩擦も影響し、中国製品の伸びが鈍化している。当社製品はスマホのメーンメーカーすべてに採用されているため、好調な北米製品と相殺している状況だ。

―― 新しいニーズは。
 矢野 スマホの画面サイズが大型化していることから、電池も1セルから2セルへと増える傾向にある。これにより、多セル対応の保護ICニーズが生まれており、スマホ全体の出荷台数には頭打ち感があるものの、保護ICは増加していくとみている。
 また、より急速に充電することへのニーズが高まっている。1時間よりも30分でフル充電する方が良いわけで、保護ICでは、電流値を高めつつ放熱対策も万全な、安全・高速に高電流を流せる製品のラインアップ拡充に注力していく。また、各チップセットメーカーの要求を取り込み、リファレンスに採用される製品の提案を強化していく。

―― (2)センサーについて。
 矢野 センサーは非常に種類が多いデバイスだ。数多くの様々なセンサーを手がけるよりも、搭載が必須であるADコンバーター(ADC)やアナログフロントエンド(AFE)に注力する戦略をとっている。ADCには、ますます高い精度とスピードが要求されており、すでに24ビット分解能までを取り揃えるΔΣ型のADCだけでなく、16ビット以上の高速な逐次比較型をラインアップしていく計画で、来年度には市場展開すべく開発中だ。
 このほか、引き続き近接センサーがヒアラブル向けで好調に推移している。

―― (3)電源向けの状況は。
 矢野 アンテナの断線検知機能付きLDOレギュレーターなど、特色を持たせた製品を展開しているが、ゲーム機器向けが好調だ。今後も新機種での採用をターゲットに製品開発と提案を続けていく。開発としては、低消費電力かつ低ノイズ化に注力している。

―― 半導体事業の第4の柱にすべく、IGBTに注力してきました。状況を。
 矢野 18年、19年度とIGBTへの設備投資を行った。現状は、細いながらも柱として立ってきたという状況だ。自動車向けがメーンなことから、18年度から好調に推移していたものの、4~6月期からコロナの影響が出始めている。しかし、この状況はずっとは続かない。省エネ化・高効率化といった強いニーズに応える製品を開発しており、手を緩めず提案活動を継続していく。

―― ミネベアミツミ内でのシナジーについて。
 矢野 17年に発表し、これまで社内向けに展開していた湿度センサー、風量センサーが、マスプロ一歩手前まで仕上がっている。
 エイブリックがグループとなったことで、これまで外部購入していたEEPROMなどが社内調達可能になるなどのメリットが生まれている。今後、徐々にお互いの製品でインテグレートできるものを増やしていくことになるだろう。

―― 生産体制について。
 矢野 かねてから検討案件だった国内8インチ工場の取得を本格化する。明確な時期については申し上げられないが、タイミングをよく見極めていきたい。エイブリックとともに8インチファブを活用していけるため、従前より取得するハードルが下がったと感じている。
 設備投資は、19年度に25億円を投じ、主にIGBT向け設備投資を行った。20年度は20億円前後を計画しており、すでにIGBT向けではやり切ったため、増産・更新に向けた投資がメーンとなるだろう。

(聞き手・澤登美英子記者)
(本紙2020年8月13日号1面 掲載)

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