商業施設新聞
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No.768

WITH HARAJUKUのIKEAに注目している


高橋直也

2020/8/11

 やっとというべきか、ついにというべきか。本来春ごろに開業するはずだった商業施設や複合施設が続々と開業し始めた。詳細が未定の施設もあるが、都内ではMIYASHITA PARK、WITH HARAJUKUなどの施設もオープンした。ただ、密を避けるためか、内覧会を行わない施設もあり、大々的な集客イベントなどはまだまだ打ちにくそうだ。運営側の苦労は当面続くだろう。だが新しい施設に足を運ぶのは楽しい。各施設ともテナント構成やファサードづくりなど魅力的な施設とするための工夫がビシビシ伝わってくる。デベロッパーの街づくりに対する狙いやテナント側の新たな取り組みも見えてくる。

WITH HARAJUKUのIKEAはこれまでと真逆ともいえる作戦に出た
WITH HARAJUKUのIKEAはこれまでと
真逆ともいえる作戦に出た
 個人的に、この春~夏に開業した商業施設のテナントで注目しているのは、WITH HARAJUKUのIKEA。郊外大型店のイメージが強かったIKEAが、都心に2層約2500m²の中規模店舗であり、ある意味これまでとは真逆の作戦に打って出たわけだが、これは理に適っているともいえる。IKEAはブランド力や認知度は抜群ながら、これまで立地柄からなかなか足を運べない人もいただろう。それがJR原宿駅前および東京メトロ明治神宮前〈原宿〉駅というトレンド発信地で、利便性も高い場所に出店したことで多くの人とのタッチポイントができた。原宿で買い物した客が、郊外の大型店にも流れてくるようになれば良い循環ができあがるだろう。

 一方で、最近の動向として気になるのは「リベンジ消費」。リベンジ消費とは簡単にいうと、自粛期間中にたまっていた買い物意欲が一気に解放されるもの。実際、6月の売り上げは好調だったという商業施設も少なくない。特に郊外や住宅立地の商業施設が好調であり、館の6月の売上高が前年を超えたという声もある。リアルの求心力が失われている中、喜ばしい話題だ。ただ、気になるのは業種別の動向。好調な業種を探ると、どうやら食料品とアパレルのようだ。

 食料品が好調なのは当然とも言える。近年好調な業種の一つであり、家にいる時間が増えれば自宅近くのSCなどでの購入頻度も増す。一方のアパレルは驚いた。今は服が売れない時代と言われている。ところが、デイリーユース系のアパレル企業を中心に6月の既存店売り上げは好調だった。おそらく6月の好調は4~5月に服を買えなかった人々が、外出自粛が解除され、さらに季節の変わり目でもあるため夏服を一気に買い揃えたためと思われる。つまりは4~5月の反動。そして反動はいずれなくなる。そうなると、アパレルの売り上げ好調もいずれは息切れしてしまうこともありえる。結果、館の売り上げは「好調」とまでは言えなくなるかもしれない。リベンジ消費は果たしていつまで続くのか……。

 話は変わるが、近所のビデオレンタル店が閉店するという。足繁く通っていたのだが、緊急事態宣言が出てからはNetflixに加入したので、4月以降は入店すらしていなかった。昨今、ビデオレンタル店は難しい状況にあると言われているが、大胆なビジネスモデルの転換も求められているのかもしれない。前述のIKEAは、都心に中型店を出店するといった従来の真逆とも言える取り組みを始めた。リベンジ消費が終わった後、館の売り上げを支えるのは、既存の「当たり前」を壊すようなチャレンジなのかもしれない。
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