電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第382回

テラダイン(株) 代表取締役社長 鵜川久氏


新型コロナ、業績影響は軽微
20年テスター市場は前年並み想定

2020/7/10

テラダイン(株) 代表取締役社長 鵜川久氏
 テラダイン(株)(日本法人=横浜市西区みなとみらい3-6-3、Tel.045-414-3630)は、米マサチューセッツ州に本社を構えるTeradyne,Inc.の日本法人。半導体テスター市場では国内のアドバンテストと並ぶ大手で、外資系装置メーカーでは珍しく日本国内に開発・生産拠点を有していることでも知られている。2020年4月1日付で、日本法人社長に鵜川久氏が就任した。同氏に足元の事業環境ならびに今後の展望について伺った。

―― まずは、ご略歴から教えて下さい。
 鵜川 大学卒業後、1986年に三菱電機に入社し、最初の2年間は電力システム部門に在籍していたが、その後は半導体部門に移り、DRAMの営業・マーケティングを担当していた。主に海外顧客にDRAMを販売する業務に従事し、DEC、サンマイクロシステムズ、ノーザンテレコムなど当時の名だたるコンピューターメーカー、通信機器メーカーに対してビジネスをできたことは良い経験になった。

―― ITバブル崩壊以降は、三菱電機も半導体部門の一部を移管します。
 鵜川 私も03年に設立されたルネサス テクノロジに移籍し、その後はDRAM事業をエルピーダメモリに移管する業務に関わり、これを終えて退職した。その後、家庭の事情で北海道に移り住み、IT関連のスタートアップ企業などでお世話になっていたころに、三菱時代に上司であった古谷正雄氏(テラダイン元社長)に声をかけてもらい、11年に当社に入社した。

―― 改めて、テラダインはどんな会社ですか。
 鵜川 古き良きアメリカの伝統を残す企業だ。シリコンバレーの半導体関連企業とは若干カルチャーが異なると思う。社長のマーク・シャギーラも日本に長い間駐在しており、熊本事業所の立ち上げに携わった人物だ。
 日本法人はみなとみらいのオフィスと熊本事業所あわせて、約190人のスタッフが在籍しており、国内顧客向けに装置の開発・生産・サポートを行っている。

―― 新型コロナによる影響は。
 鵜川 まず当社の事業体制だが、日本法人は3月からリモートワークの体制を敷いており、現在もこれを継続している。オフィスに通勤する場合でも時差通勤を徹底してもらっている。熊本事業所の生産部門もローテーション制を導入して生産能力を落とさないかたちで操業を続けている。

―― 海外の生産拠点の状況は。
 鵜川 中国・蘇州工場は、2月上旬に操業が止まったが、下旬から操業が回復した。一時は出荷作業などで非常に困難な場面もあったが、3月に入ってある程度取り返すことができた。マレーシア工場も4月から移動制限が入り、出社率のコントロールなど一時的に操業が落ちたが、5月半ばから生産キャパシティーは通常レベルまで戻すことができた。

―― 業績への影響について。
 鵜川 結果的に1~3月期に対する影響はほとんどなかったと言ってよい。売上高は約7億ドルを記録し、4~6月期売上高見通しも6.9億~8億ドルとガイドに幅を持たせているものの、旺盛な半導体テスター需要をベースに良好な市場環境が続きそうだ。ただ、受注ベースでは一部調整が入っており、第3四半期(7~9月)以降は一部で不透明感がある。

―― 20年のテスター市場の見通しは。
 鵜川 現状で37.5億~41.5億ドルを見込んでおり、全体では19年並み(39億ドル)の市場規模を想定している。内訳はSoCが31億~34億ドル(前年実績33億ドル)、メモリーが6.5億~7.5億ドルを見ており、今のところガイダンスに対して、SoCはミッドポイント、メモリーが上限近くになると見ている。
 5Gに関連したテスター需要は引き続き旺盛で、インフラはもちろんのこと、ハンドセット向けもRFデバイス関連を中心に落ちていない。アプリケーションプロセッサーは各社によってまだら模様といった状況で、メモリーはフラッシュ向けのテスター需要が強く入っている。


(聞き手・副編集長 稲葉雅巳)
(本紙2020年7月9日号12面 掲載)

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