3層吹き抜け、天井高約20m・長さ270mのモール
福岡市と北九州市の中間に位置する福岡県福津市の国道3号線沿いに2012年4月26日、「イオンモール福津」がグランドオープンした。4月21~25日のソフトオープン4日間で約17万2000人の人出があり、車の来場台数は約7万3000台だった。グランドオープン当日は、開店前に約2100人の列ができたという。
敷地面積は約14万m²、施設規模はS造り5階建て延べ11万1010m²。営業面積約6万3000m²にはイオン九州のGMSを核に約180の専門店が集積し、駐車場は約3500台を収容できる。イオン九州とTOHOシネマズのシネマコンプレックスを両端に配置し、その間をモールで結んでいる「2核1モール型」のショッピングセンターだ。モールは3層吹き抜けで、長さは270m、天井高は約20mになる。
これまで、いくつの「イオンモール」の開店を取材したことだろう。「香椎浜」「福岡」「直方」「八幡東」「筑紫野」「大牟田」など、何もなかった所に、1年もかからずに大規模な商業空間が創出される。その都度、スケールの大きさに圧倒され、ピカピカのおしゃれなモールをまぶしく思った。今回、福津店開店を取材して、イオンモールは進化していると感じた。今までにない、落ち着いた上質感を感じた。
イオンモール(株)代表取締役社長の岡崎双一氏は、福津店が従来店と違う点を2つ挙げた。1つは、東日本大震災後の第1号店として「耐震性の更なる強化」と「被災時の復興拠点としての機能確保」を念頭に、建物・設備(構造、電源、給排水設備など)を設計変更したこと。もう1つは、お客様のターゲットを、これまで10代前後の子供がいるヤングファミリー層を主体としていたが、シニアを加えた3世代を対象にするシニアシフトに変更したことだ。
モールを歩く。センスアップした専門店が立ち並ぶ。店に入るのが気恥ずかしいくらいだ。エスカレーターで2階に上がる。床は1階の光輝いていたタイル材から絨毯生地に変わった。壁面などの内装の色彩は、クリーム色をベースに薄い茶色、濃い茶色を取り入れ、アクセントに緑を使っており、神経が高ぶらずに落ち着く。
3階のフードコートも、しっかりデザインされていた。いくつかのエリアを作って、ボックス席であったり、喫茶店のようなテーブル席であったり、子供が遊べる場所があったり。
さらに驚いたのは、男子用トイレだ。小用の便器と便器の間が区切られているのだ。SCでここまでするのか。これは都市ホテルと同じだと思った。
SCは今や、単に商品を販売する所ではなく、あらゆる分野の最先端を散りばめた都市空間と言っても過言ではない。そして何より嬉しいのは、仕事柄、東京、大阪の最新の商業施設を見ているが、「地方だから、この程度の設備で良い」というような手抜きがない。地方でも、一切妥協しない店づくりを行っていることだ。