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第375回

(株)MUJIN CEO 滝野一征氏


20年5月期は約3倍の増収見込み
「ロボットが有事の際の備えに」

2020/5/22

(株)MUJIN CEO 滝野一征氏
 (株)MUJIN(東京都江東区辰巳3-8-5、Tel.03-4577-7638)は、革新的な産業用知能ロボットコントローラー(RC)を手がけるベンチャー企業。同社のRCを搭載した産業用ロボットは、自らピッキング動作を自動生成・実行する知能ロボットとなり、ティーチング作業なしでばら積みされたワークや超多品種のピッキングなどが実現できる。これまでに国内の製造・物流施設を中心に実績を積み上げ、大手企業からの引き合いも増加している。CEOの滝野一征氏に話を伺った。

―― 直近の需要動向から伺います。
 滝野 現在、当社が展開している領域は製造業向けと物流施設向けに大別できるが、今期(20年5月期)はどちらの領域も好調に推移している。特に物流関連は大きく伸長し、日用品卸大手の(株)PALTACや(株)坂塲商店のほか、メディカル関連企業の物流施設などに導入された。ユーザー数ならびに業種の幅も広がっており、今期は前期(19年5月期)に比べて売上高は約3倍になる見通しだ。

―― そのほか今期に実施したことは。
 滝野 ユニクロなどを展開する(株)ファーストリテイリング(FR)と戦略的グローバルパートナーシップに関する合意書を19年11月に締結した。当社の技術とFRのノウハウを融合し、アパレル製品向けのピッキングロボットを共同で開発している。すでにFRの海外拠点で自動化に着手しており、来期(21年5月期)から稼働を開始する見通しだ。その後、FRが有する他の倉庫にも技術を導入していく予定だ。

―― 大型の資金調達も実施しましたね。
 滝野 19年2月に銀行から総額75億円の特殊当座借越契約を締結した。調達した資金を活用し、人員の拡充など事業体制を強化するとともに、19年8月に東京都江東区辰巳へ本社を移転した。
 新本社は1万4000m²のスペースを有し、ロボットの実機を展示したショールーム機能なども備えている。開発スペースも広く確保し、お客様がワークを持ち込んで、実際の現場に近い状況で実証が行え、必要であればロボットセルまで作り込むことができる。

―― 現在のラインアップは。
 滝野 ばら積み部品ピッキングや超多品種のピースピッキングをはじめ、デパレタイジング、パレタイジング、ソーター投入といったロボットソリューションのほか、CTU(コンテナ搬送ユニット)とAGV(無人搬送車)といった搬送型ロボットも提供している。現在こういったソリューションの速度、精度、ロバスト性といった機能の向上に力を入れており、例えば、デパレタイズロボットについては1時間あたり最大1000ピック以上という業界内で圧倒的な性能を実現している。

―― 開発面での取り組みは。
 滝野 当社のロボットソリューションのうち、RCについては自社でハードウエアも設計しており、現在、最新のファンレスRCを開発している。RCの製造については外部に委託しているのだが、国内では機器や基板実装などを少ロットで組立/カスタマイズしていただける方が限られており、苦慮することが多い。
 また、当社は19年3月に中国・広州で現地法人を設立するなど海外展開を進めていることから、今後、海外における認証取得に関する取り組みを強化する必要があると考えており、もし、こういった製造・認証取得など面でサポートしていただける方がいれば非常にありがたい。

―― 今後の見通しを。
 滝野 新型コロナウイルスの影響によって不要不急の外出自粛などが求められるなか、インターネット通販の利用や特定商品の需要が増加している。それに伴い、当社のお客様のなかにも物流量が急増された方がいるが、ロボットの稼働時間を延ばすことで「人員を増やすことなく、1.5倍の需要増に残業なしで対応できた」といった声をいただいている。安全面の配慮から増員ができない企業も多いなか、当社のお客様は有事でも対応できる企業として、市場での評価を上げている。
 ロボットは人手不足をカバーする省人化ツールとしての役割に注目が集まっていたが、有事の際の備えにもなることが示されつつあり、ロボットによる自動化はこれまで以上に加速していくとみている。当社としても好調だった今期に続き、来期(21年5月期)もロボット導入支援を加速させていきたい。

(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2020年5月21日号9面 掲載)

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