電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第364回

ユニバーサルロボット 日本支社 代表 山根剛氏


日本市場は2桁成長を達成
製品群や販売ネットワーク拡大

2020/3/6

ユニバーサルロボット 日本支社 代表 山根剛氏
 ユニバーサルロボット(デンマーク・オーデンセ、日本支社=東京都港区芝2-28-8)は、協働ロボット製品で世界トップシェアを誇る企業。世界的な設備投資の減少などで業績が伸び悩む企業が多かった2019年にも売上高を伸ばし、ロボット市場における存在感が年々高まっている。日本支社 代表の山根剛氏に話を聞いた。

―― 19年の需要動向は。
 山根 19年のユニバーサルロボット全体の売上高は前年比6%増の2億4800万ドルだった。自動車関連分野を中心に設備投資が減少したなか、当社製品を採用いただいた業種やユーザー数が拡大し増収を達成した。市場としては、これまでは欧州や米州の伸び率が高かったが、19年はアジア市場の伸び率が最も高かった。日本市場は自動車関連や電機・電子などをはじめ幅広い業種で採用が拡大し、2桁成長を遂げた。

―― 採用が増えているポイントは。
 山根 当社のロボットは、プログラミングや生産設備への統合が非常に容易で、ロボットプログラミングの専門技術者がいない企業でも使いやすく、開梱、取りつけ、プログラミング、作業開始まで1時間~半日程度で行える。また、複数の安全機能を備えており、リスクアセスメントがしやすい。さらに最近は日本で当社の知名度が向上し、それが購入されるお客様の安心感にもつながっている。加えて当社のロボットは、搭載している独自OS「POLYSCOPE」(ポリスコープ)の機能が定期的に追加・拡張される。つまり購入していただいたあともロボットの性能が常に進化し、ハードを買い替えなくてもお客様の生産性を常に高めることができる。

―― 販売体制も強化していますね。
 山根 16年に日本オフィスを開設し、代理店網の構築に力を入れてきた。直近では三光電業(株)(広島市西区)が代理店に加わり、日本の代理店は11社に拡大した。お客様をサポートする体制が強化され、かつ各パートナーの技術力や提案力が向上していることも日本市場での拡大につながっている。

―― 製品面での取り組みは。
可搬重量16kgタイプの「UR16e」
可搬重量16kgタイプの「UR16e」
 山根 これまで可搬重量が3kg、5kg、10kgの機種を展開していたが、19年9月から可搬重量16kgの「UR16e」の販売を開始し、対応できるアプリケーションの幅を拡大した。また、19年11月にはDCバッテリー駆動タイプも発表。DCバッテリー電源で駆動するAGVやAMRとシームレスで統合でき、工程間を移動して複数の作業を実施する高度なロボットシステムを構築できる。加えて、研究開発分野を中心にニーズが高いROS(Robot Operating System)にも対応できるように、当社認定のROSドライバーの提供も19年から開始した。

―― システムを構成するうえで周辺機器も重要になりますが。
 山根 当社では、周辺機器メーカーなどが当社のロボットアームとのインターフェースを持つセンサーやカメラ、グリッパーなど、新しいハードウエアを自由に開発できる「Universal Robots+」というプラットフォームを提供しており、19年12月末時点で200以上の認証製品が生まれている。日本でも、キヤノンの画像処理ソフトウエア、シナノケンシの電動ロボットハンド、コスメックのマニュアルロボットハンドチェンジャーが認証され、そのほかにも開発を進めておられる企業が増えている。

―― 注力している取り組みは。
 山根 協働ロボットを、より使いやすく、身近に感じていただくための施策をさらに拡充していきたいと考えている。例えば「ユニバーサルロボット・アカデミー」がその1つだ。ロボットの専門的な知識や経験を持たないユーザーの方にも、基礎的なプログラミングスキルを習得いただける無料のオンライントレーニングに加え、ロボットの実機を使ったトレーニングについても、20年前半から当社ならびに代理店によるエンドユーザーの方に向けた認定トレーニングを開始する予定だ。

―― 日本市場における20年の見通しを。
 山根 先に述べたような使いやすさ、安全性の高さ、リスクアセスメントのしやすさ、ポリスコープの拡張性などをしっかりと訴求していくとともに、空白地域となっている北海道・東北エリアでの代理店網構築など、販売ネットワークのさらなる整備にも取り組んでいき、日本市場では20年も2桁成長を目指していく。当社は08年に協働ロボット第1号を発表して以降、市場の拡大とともに事業を拡大してきた。そして現在、協働ロボット分野のトップランナーとして、協働ロボット市場をさらに大きくする役割も担っており、今後も協働ロボットに関する新たな技術や活用法を常に提供していき、さらに多くの方にロボットを使っていただけるような環境を作っていきたい。

(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2020年3月5日号1面 掲載)

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