商業施設新聞
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No.742

好きな書店のために投資を


北田 啓貴

2020/2/4

 筆者の趣味の一つに書店巡りというのがある。旅行や出張で各地に行った際、個性的なお店や「ジュンク堂書店」、紀伊國屋書店などの大型店を訪れて、各店独自の売り場づくりや得意なジャンルを見て、世間の流行を調べたり、その店の個性を感じて楽しんでいる。加えて、筆者にとって書店通いはストレス解消にもなるので、会社の近くの書店には週に3~4回足を運ぶこともある。

 中でも、多層階やワンフロアに多数の書籍が置かれている大型書店が大好きだ。その魅力は、政治経済や文学など各ジャンルの蔵書数が多いので、単に欲しかった本が手に入るというだけでなく、今気になっているテーマや探求している問題の本も店内を歩き回ると見つかるからだ。そのため、筆者にとって大型書店に行くことは、百貨店を訪れる感覚と同じだと言っても過言ではないのだ。

2月末で閉店する「ジュンク堂書店京都店」
2月末で閉店する「ジュンク堂書店京都店」
 そんな筆者にとって、正月明け早々悲しいニュースが飛び込んできた。京都市にある「ジュンク堂書店京都店」が2月末に閉店するというものである。京都市の繁華街四条エリアにおいて、約30年の歴史を持つ大型書店で、筆者も京都市内の大学に通っていた時からよく利用してきた。今でも京都に行った際は、時間さえあれば必ず訪れている。特に学生時代に国際政治学を学んでいた筆者としては、おそらく書店ではこの店舗でしか買えない(というよりこの店舗でしか見たことがない)米外交問題評議会が発行する外交専門誌『フォーリンアフェアーズレポート』の日本語版を買い求めてよく足を運んだ。

 そういった個人的な思いとは別に、客観的に見れば京都大学をはじめ、同志社大学や立命館大学など多数の大学がある京都市内においても、大型書店が閉店することは改めて書店不況の深刻さを浮き彫りにしている。書店不況の背景には、大きな流れとして読書離れ、流通面ではアマゾンなどECサイトの台頭や紙媒体から電子書籍への移行という要因があり、公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所によると、紙の出版物の推定販売金額は14年連続で減少しており、紙の書籍の市場が縮小している。書店の減少は仕方がないことなのである。

 そのため、カフェを併設した書店や雑貨や文房具の品揃えを強化した書店など各社が工夫を凝らし、集客力強化を図っている。もちろんこういった企業努力は重要である。しかし、そもそもの問題として、筆者を含め本好きの人間は書店に通って、本を買うべきではないのか。もちろん「毎月たくさん本を買っている」という人や「金銭面の問題」という声もあるだろう。

 ただ書店は図書館のような、街の知的拠点としての役割も果たしていると筆者は考えており、小売業であると同時に街の文化レベルを上げるものであると思っている。大型店でなくても好きな書店を維持するために、企業側の努力に頼るだけではなく、客側も書店への「投資」を行う感覚で書籍を購入する。客側も意識改革するべきではないだろうか。
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