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No.54

米国アイオワ州投資セミナー、知事が挨拶し広く投資を呼びかけ


2019/12/10

アイオワ州知事のキム・レイノルズ氏
アイオワ州知事のキム・レイノルズ氏
 アイオワ州経済開発機構と日本貿易振興機構(ジェトロ)主催による米国アイオワ州投資セミナーが、11月11日に東京都内のジェトロ本部で開催された。今回初来日したキム・レイノルズ アイオワ州知事は挨拶の中で「アイオワ州にいかに優れたビジネスセクターがあるかを知って欲しい」と語った。

 セミナーでは、アイオワ州経済開発機構のデビー・ダーラム理事長が「成長するアイオワ州のグローバルパートナーシップ」のテーマで講演し、アイオワ州のプロフィールやビジネス環境についての概略を述べた。

 アイオワ州は米国中西部に位置し、面積は5743m²で、300万人の人口を有している。18年のアイオワ州のGDPは1707億ドルとなっている。イリノイ州シカゴ市が西側に位置しており、東はミシシッピ川、西はミズーリ川を州境としており、ミシシッピ川を通じてメキシコ湾まで出ることができる。

 アイオワ州にとって日本は3番目の輸出市場で、17年から18年にかけて州から日本への輸出は6%以上増加している。また、17年は日本から15億ドルの商品を輸入している。

 金融サービス業も発達しており、アイオワ州において保険業は州総生産の10%を占めている。全米で最も低い保険料税率で、年金保険や生命保険の販売に保険料税がかからないため、日本の金融・保険業者も進出している。

 再生可能エネルギーの普及も進んでおり、37%を占めるに至っている。総発電量に占める風力発電量が33.7%と全米2位で、安価な電力エネルギーを利用できることから、フェースブック、グーグル、マイクロソフトなどがデータセンターを立地している。

 バイオサイエンスは急速に伸びている分野。バイオディーゼルの生産量は全米1位で、4億2800万ガロンの生産能力を有している。バイオ技術により穀物の価値を高めるとともに、付加価値の高い素材を成長する市場に供給している。

 教育にも力を入れている。高校の卒業率は97%以上と全米1位で四大の卒業率も全米3位となっている。また、事業展開のコストが低い、北米の中心に位置している、生活の質がトップレベルである、R&Dの税還付があるなど、日本企業が進出するにあたってのメリットを強調した。

 続いて、事例紹介では味の素アニマル・ニュートリション・グループ(株)代表取締役社長の柏倉正巳氏が味の素アニマル・ニュートリション・ノースアメリカ社の概要を紹介した。

 味の素アニマル・ニュートリション・ノースアメリカ社は、鶏、豚、乳牛向けの動物栄養のアミノ酸の生産を1986年に開始。その後増産を重ねて現在に至っている。アミノ酸の1つであるリジンの生産量は当初1万3000tだったが、現在では10万tに拡大している。18年にも増産投資を実施しており、11月末の稼働を予定している。水産分野ではサーモン向けのアミノ酸の生産も開始しており、これに向けた投資も行っている。飼料用のアミノ酸は原料がトウモロコシであるため、最大の生産地であるアイオワに進出した。エネルギーコストが安く、人々のクオリティーやインテリジェンスが高く、さらに州政府が協力的であることから、今後もアイオワを拠点に展開していきたいとしている。

 続いて、(株)ブリヂストン 農機ソリューション事業本部 主任部員の森脇厚二氏がアイオワ州のブリヂストンのテーマで講演した。

 ブリヂストンは1988年に米国のタイヤメーカーであるファイアストンを買収。同社の拠点がオハイオ州にあったことから、オハイオを拠点としたビジネスが始まった。オハイオ州にあるデモイン工場は、農機用のタイヤの製造販売拠点で、製品の一部は輸出も行っている。ブリヂストンがファイアストンから買収する当時から閉鎖の話が出ていたが、2000年代に入るとブリヂストンは同工場に投資を開始。同工場の従業員もブリヂストンの同工場に対する意気込みを評価し、対話ができる関係となり、10年代に入ると労使が協調できる関係になったという。
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