愛知県などの主催による「愛知県産業立地セミナー2025 IN 東京」が11月19日に東京都内のホテルで開催された。セミナーではまず愛知県知事の大村秀章氏が世界の一歩先を行く「『産業首都あいち』を目指して~国際イノベーション都市への飛躍~」のテーマで講演し、愛知県の魅力などを紹介するとともに広く企業立地を呼びかけた。
愛知県は産業が集積し、製造品出荷額は47年連続で全国1位を記録しており、2023年は58兆218億円と過去最高を記録した。
自動車産業が集積しており、輸送用機械器具の製造品出荷額は32兆9087億円、シェア41.2%となっている。水素ステーションの整備数は33カ所で全国1位となっている。
航空宇宙産業も集積しており、中部地区の航空機・部品生産高の全国シェアは34.6%で、うち航空機耐部品では59.6%。ボーイング787の機体構造の製造割合は35%を占めている。
ロボット製造業の事業者数は第1位で、製造品出荷額は第3位。12月13~14日には高校生ロボットシステムインテグレーション協議会が開催。12月12~14日にはWorld Robot Summit 2025 AICHI(モノづくりロボットチャレンジ)が開催される。
交通インフラも充実しており、空路では中部国際空港、県営名古屋空港、陸路では広域的な幹線道路が整備されており、リニア中央新幹線が開業すれば名古屋駅から東京まで40分の距離となる。海路では名古屋港など合計15の港湾があり、さらなる機能強化も計画されている。
産業用地は、豊明柿ノ木地区工業用地が分譲受付中。愛西佐屋地区、豊川白鳥地区で工業用地のエントリー受付中で、安城北山崎地区工業団地が分譲準備中となっている。
スタートアップの創出・育成・展開を図る支援拠点「STAITION Ai」が24年10月に開業。会員数はスタートアップが約610社、パートナー企業が350社で、1年間で1300件のイベントを実施した。
25年7月にはIGアリーナ(愛知国際アリーナ)がグランドオープン。全国・世界に打ち出せるスポーツ大会を招致・育成し、地域活性化につなげる取り組みを推進している。
大村知事は講演の最後にトヨタ自動車が豊田市で計画している車両組み立ての新工場について紹介。同工場は現在愛知県企業庁が環境アセスメントの作業に入っている。「トヨタ自動車は日本最大のアッセンブリー工場を作る計画で、未来の工場となる最新鋭の工場を作る。造成や許認可などの手続きは愛知県企業庁が担当する。これにより愛知県でのビジネスチャンスはさらに拡大する。愛知県は日本の成長エンジンとして未来を目指す」と語った。
続いて、(株)愛知国際アリーナの常務取締役で、NTTドコモ(株)から出向している勝亦健氏「『愛知なごや飛ばし』から『愛知なごや詣で』へ~IGアリーナが切り拓く新たなアリーナビジネス~」のテーマで、IGアリーナでの事業を紹介した。
IGアリーナは25年7月に大相撲名古屋場所でグランドオープン。名古屋城公園北園の一部に所在するアリーナである。NTTドコモなど7社が出資し、国内外地元を網羅するユニークな運営会社構成となっている。年間契約のスイートルームや入場者を対象としたプレミアムラウンジなどを備えており、施設の貸し出しのみの従来のアリーナと違い、待ちではなく攻めのビジネスを展開するアリーナとなる。当初はスポーツのイベントを多く誘致しており、26年秋のアジア大会でのバスケや柔道の会場となることで、総合スポーツの聖地を目指す。その後、独自イベントを含め音楽興行を圧倒的な規模で誘致することで総合エンタメの聖地へと進化させる。これまでのライブやスポーツを行う「箱」から業界を変える「場」としてのビジネスを展開する。
勝亦氏は「皆さんとご一緒して、今までと違う景色を作っていきたい」と語った。
最後に半田市、豊川市、刈谷市、安城市、常滑市、新城市の各市長が立地環境や雇用環境など様々な観点からそれぞれの市についてプレゼンを行った。
半田市では半田石塚地区工業団地の立地エントリーを近く開始する予定。開発面積は約15.5万m²、分譲面積は7区画約11.3万m²で、事業期間は24~30年度を予定している。
豊川市では豊川白鳥地区の立地エントリー申し込みを受け付け中。分譲面積は約6.3万m²で、29年の引き渡しを予定している。また、豊川市西部地区に新たな工業用地の開発も検討中だ。
刈谷市では依佐美工業団地の第2期開発を計画している。同工業団地は22年に先行開発地域が完成し、完売している。第2期では約10万m²の大区画を含む大・小区画を計画しており、32年度の企業立地開始を予定している。
安城市では北山崎地区工業団地の第1期区画約7.6万m²が分譲開始予定。第2期約3.4万m²の分譲も計画されている。
常滑市では中部臨空都市に最大10.8万m²の用地が分譲中。内陸部で新たな産業用地の創出も検討している。
新城市では新城インター企業団地2期5.5万m²の分譲を計画している。26年春ごろの公募開始、26年冬ごろの用地引き渡しを予定。製造業、物流業に加え、データセンターなどの情報通信業も希望職種に加えている。