商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
No.733

マイナスからのスタートでも


若山 智令

2019/11/26

 侍ジャパンが「世界野球WBSCプレミア12」で優勝し、日本の野球が世界を制した。国内のペナントレースにおいても、贔屓にしている埼玉西武ライオンズ(西武)がリーグ優勝を果たし、惜しくもクライマックスシリーズでは敗退してしまったが、西武ファン個人としては満足している。何しろ、2019年のシーズンは前年の投打の主軸が移籍してしまうというマイナスからのスタートだったからだ。その逆境を跳ねのけてリーグ制覇をしたわけなので、非常に意味のあるものだったと思う。

 筆者は埼玉出身ということもあり、小さいころから西武ファンだった。特に、小学生のころは「黄金期」と呼ばれる時代で本当に強かった。実際、1982~94年の13年間でリーグ優勝11回、日本一8回なのだから、その強さを疑う余地はないだろう。だが、95年以降はそれまでの強さに少し陰りが見えてくる。リーグ3位以上のAクラスには入るものの、これまでの「圧倒的」な強さを感じられなくなっていた。

 西武は昔から選手の流出が多い球団だった。黄金時代の主力だった選手も移籍が相次いだ。例えばPL学園出身のあの選手や、当時のダイエーホークスに行ってしまった投打の主軸の2人など、西武に骨をうずめる選手はわずかだったと記憶している。でも、ドラフトのくじ運が強かったり、若手の育成がうまかったりして、一度低迷しても数年後には必ず優勝争いに食い込む。そんな不屈の精神で戦う西武もまた好きだった。

入会しようか本気で考え中
入会しようか本気で考え中
 話を現代に戻そう。2000年代も苦難のシーズンが続いたが、直近の18、19年のシーズンはリーグ制覇・連覇を果たした。西武としては97年、98年のシーズン以来約20年ぶりの連覇で、西武ファンにとって嬉しい2年間だった。特に19年シーズンは、チームのエース級のピッチャー、主軸のバッターの2人が抜け、大きな穴があいたと思った。開幕前は「優勝」の2文字に暗雲が立ち込めていたが、ふたをあけてみれば、若手の成長やベテランの奮闘などチーム一丸となって快進撃を続け、見事連覇を果たす。マイナスからスタートしたシーズンだったが、選手一人ひとりが自分の仕事に徹し、役割を果たした結果の優勝だったので、ファンとして個人的にはとても感慨深いシーズンになった。

 そして19年シーズンが終わり、20年の新シーズンに向かう中、また一人、レギュラー選手の流出が起こりそうである。しかも行く先はメジャー。だが、快く送り出したい。例え戦力ダウンになっても、何度も蘇った西武ならきっと大丈夫だと思うからである。

 ここ数年、球場に野球を見に行けていない。本拠地のメットライフドームは改修し、かなりバージョンアップされたみたいだし、個人的に好きな選手は当分流出の可能性はないので、久しぶりにファンクラブにでも入ろうかと思う今日このごろである。
サイト内検索