スリランカ開発戦略・国際貿易大臣の
マリク・サマラウィクラマ氏
日本貿易振興機構(ジェトロ)、スリランカ投資委員会主催によるスリランカ投資セミナーが、9月13日に東京都内のジェトロ本部で開催された。スリランカ開発戦略・国際貿易大臣のマリク・サマラウィクラマ氏が基調講演し、スリランカへの進出と投資を広く呼びかけた。
基調講演では、日本とスリランカはサンフランシスコ講和条約から関係があり、長年にわたり関係を築いてきたこと、仏教など文化的関係も深いことなどを紹介した。日本の開発援助が重要な役割を担っており、コロンボ港拡張など様々なプロジェクトやインフラ整備に日本が関わっている。スリランカは、インド、パキスタンに次いで、シンガポールとも自由貿易協定を締結している。工業地区の開発も進めており、日本企業の専用地区も提供できる。政府は進出企業の抱える問題を未然に解決するとしており、日本企業の多くがスリランカに進出し、成功を収めている。大臣は「スリランカに進出してぜひ我が国に投資してください。スリランカは新たなインド洋のハブとして歓迎する」と講演を締めくくった。
次に「スリランカにおける投資機会」のテーマで、スリランカ投資委員会のマンガラ・ヤーパ長官が講演した。
スリランカの人口は2100万人、貧困率は2002年の22.7%から4.1%に低下。識字率は96%で先進国に匹敵。1人当たりの収入は4000米ドルを超えている。労働力やインフラ施設の質も高くなっている。複数の市場へのゲートウエイとして戦略的な位置に所在しており、コロンボ港は最も高い成長率を誇っている。また、空路も充実しており、世界100都市への航空便が運航。インド南部へは1時間で到着する。インセンティブも充実しており、1億ドル以上の投資で100%免税となる。観光セクターや、物流セクター、インフラセクターなどでも多くの投資案件がある。また、269万m²の埋め立て地に高級住宅街、ショッピング街、ビジネス地区を開発するコロンボ国際金融センター(旧コロンボ ポート シティー プロジェクト)を紹介。総額150億ドルの新規投資で8万3000人の新規雇用が見込まれており、ワールドクラスの生活、商業用不動産、会議センター、インターナショナルスクール、病院、マリーナなどが整備される。
マンガラ・ヤーパ長官は「スリランカは戦略的な要地。ぜひ、進出して投資してください」と締めくくった。
続いてジェトロ コロンボ事務所の糸長真知所長がスリランカのビジネス環境について、概況や観光業、治安と安全、投資と貿易の状況などを説明した。スリランカは豊かな観光資源に恵まれており、観光客は右肩上がりに増えている。テロ事件以降も早期に回復しており、治安面では東南アジアで広く行われている一般的なセキュリティーチェックが導入されたことなどを説明。また、輸出加工区やFTAを積極的に進めていることなど紹介した。
コロンボストックヤードの田中秀昭会長と小田急電鉄(株)事業企画部課長の窪田拓郎氏が進出日系企業の体験談を語った。
コロンボストックヤードは1906年に英国コロン修繕所として創業。93年に尾道造船が買収し、51%を出資している。従業員総数は約3000人で、船の修繕、新造、オフショアエンジニアリング、陸上の構造物の製造などを行っている。
小田急電鉄は、ホテル事業をグループの成長分野と位置づけ、海外へもホテル事業を積極的に進出している。特にアジアエリアを中心にリゾートホテルの進出先の検討を行ってきた中で、スリランカの可能性について認識し、リゾートホテルの開発を決定した。