商業施設新聞
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第204回

(株)相鉄アーバンクリエイツ 専務取締役 斉藤淳氏


横浜駅、ゆめが丘駅などで街づくり
新たな集客の核機能を模索

2019/11/5

(株)相鉄アーバンクリエイツ 専務取締役 斉藤淳氏
 (株)相鉄アーバンクリエイツは、相鉄グループの不動産開発を担い、子会社の(株)相鉄ビルマネジメント(SBM)とともに、相鉄沿線の商業施設から街づくりを行ってきた。今後、鶴屋町北地区再開発を含めた将来の横浜駅西口の街づくりや、相鉄沿線のゆめが丘駅、天王町駅~星川駅高架下開発が控える。これらの取り組みを同社専務取締役の斉藤淳氏に聞いた。

―― 貴社の概要からお願いします。
 斉藤 沿線価値向上を目指し、土地区画整理事業や都市再開発事業に参画しながらグループの資産を有効活用すべく、街づくりを行っている。最近では二俣川駅南口再開発が挙げられる。駅舎増築と再開発事業を一体で行う街づくりの中で、商業施設「ジョイナステラス二俣川」やオフィス、住宅を整備し、2018年4月に開業した。今後、従前から北口にある商業施設「相鉄ライフ二俣川」について、ジョイナステラス二俣川を補完する形で改装をSBMと検討している。

―― グループの拠点である横浜駅西口の街づくりは。
 斉藤 横浜市が駅周辺の街づくり指針「エキサイトよこはま22」を推進しており、相鉄グループとしてどう取り組むべきか探りながら進めている。その一環として、横浜駅きた西口鶴屋地区再開発事業に参画している。住宅関連の国家戦略特区に初めて認証され、国際都市にふさわしい住宅などを整備する。容積緩和の措置を受け、地域のランドマークに資する高さ180mの再開発ビルを建設する。19年度着工、22年度完成を目指している。

―― 概要を。
 斉藤 1~4階に商業、中層にホテルとサービスアパートメントを導入し、海外も含めた中長期の滞在者をサポートする。周辺にこうした施設が少なく、横浜駅は仕事や観光で行きにくいという声が多いが、これに応えたい。上層は分譲マンションとし、外国人居住者にも対応するため、多言語対応のクリニック、子育て関連施設など、サポート施設も用意する。駅からデッキで接続し、JRグループが整備中の「JR横浜タワー」「鶴屋町棟」にもつながる。

―― 西口で不動産を継続的に取得しています。
 斉藤 取得を目的としているのではなく、地域との意見交換などを通じて、ご縁で取得することが多い。
 横浜駅は、JR横浜タワーにより、駅前の形ができてきた。市は西口駅前ロータリーを含めた周辺整備を次の段階で進めたい意向だ。当社は西口で不動産取得を通じて資産を積み上げてきた。当社単独、または周辺事業者と横浜市を交えながら今後の展開を検討したい。

―― 横浜駅周辺に不足しているものは何でしょうか。
 斉藤 まず言えるのがオフィス機能だ。MM地区に多くのオフィスが誘致されているが、ターミナル駅に高機能なオフィスニーズは十分あるだろう。またインバウンドの来街が少なく、新宿の10%程度との指摘もある。さらに来街を促すエンタメ機能も挙げられる。
 一方で、横浜駅西口エリアマネジメント団体を法人化して活動を本格化させている。当社が立ち上げて軌道に乗ったところで、運営をSBMに移行した。ソフト面での活動だが、最終的には老朽化したハードをどう建て替えるか。色々なコンテンツを合わせながら、将来の形を検討している。
 11月30日にJR東日本と、3年後には東急との相直運転が控えており、この動向も踏まえながら青写真を描いていきたい。

―― ゆめが丘駅周辺で大規模開発を計画しています。
 斉藤 「泉ゆめが丘地区土地区画整理事業」の組合事務局を受託しており、横浜市泉区の南西部に位置する施行地区面積約24ha、計画人口5200人で、22年4月に換地処分を目指す。この中に大規模集客施設や、中高層の住宅や戸建てなどを想定している。大規模集客施設は4万3000m²を充て、23年末開業を目指すが、周辺に競合施設があることと、EC隆盛を踏まえて、慎重に検討している。

―― 星川駅~天王町駅間の高架下開発は。
 斉藤 すでに高架化したが、横浜市の連続立体事業は完了しておらず、これから前面道路を整備するので、供用開始に合わせながら施設の計画を練っていく。3工区に分かれており、最初が二俣川側、続いて天王町駅側、最後が星川駅前。商業施設は1000~1200坪となるだろう。横浜駅から2km程度と至近なため、わざわざ来ていただけるコンテンツを揃えたい。19年度に着工し、全体完成は3、4年後となるだろう。

―― それ以外に相鉄本線での街づくりは。
 斉藤 二俣川~西谷駅間を地下化し、連続立体事業を行う構想がある。市の道路局など関連各所と今後協議し、事業参画を模索したい。

―― 相直運転の新駅の羽沢横浜国大駅は。
 斉藤 当社に資産はなく、地元の地権者と共同での事業を提案している。

―― 抱負を。
 斉藤 街づくりの中で、核になっていたのが商業施設だったが、もはや商業の集積だけでは難しい。次世代の大規模集客施設を何にするか。まずは鶴屋町再開発、ゆめが丘駅、星川~天王町高架下ではこのあたりをしっかり整理したい。こうした中で、エリアマネジメントを推進してここから得られた知見を吸収し、ハードありきで作るのではなく、完成後の仕掛けを備えられるものを作っていきたい。

(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2314号(2019年10月1日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.313

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