電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第356回

トランジスタ・メモリアル講演会2019のテーマは画期的新デバイスだ


~11月27日に秋葉原で開催、MRAM、脳波センサー、新画像センサーなど一気紹介

2019/10/25

 いまや50兆円産業となった半導体の事実上の始まりは、米国ベル研究所におけるトランジスタ発明であった。1947年のクリスマスイブの前日である12月23日、公式な立会人のもとで、点接触型トランジスタの動作原理が確認された。この発表を見たベル研究所首脳部は、ゲルマニウム内部を通過して成立する2つの回路の一方が、他方の抵抗を変えるという意味での「トランス・レジスタ」を縮めてトランジスタと命名したのだ。

 この発明者は、ウィリアム・ショックレー、ジョン・バーディーン、ウォルター・ブラッテンの3人のチームであり、もちろん全員がノーベル賞を受賞している。ちなみにバーディーンは、このトランジスタの後で超電導も発見しており、なんとノーベル賞を2回取った男なのである。

 それから72年の歳月が流れ去り、今日において半導体産業は世界のIoTを引っ張る最大の主役となっている。そして、このトランジスタを初めて大量生産に乗せたのが、東京通信工業(後のソニー)という会社であり、彼らが作ったトランジスタラジオの衝撃は、世界を揺るがしたのである。

 さて、産業タイムズ社はこの世紀の発明であるトランジスタを記念するカンファレンスを毎年開催している。12月23日をトランジスタメモリアルデーとし、これに関連する半導体の過去を振り返り、現在を分析し、将来を展望するためのカンファレンスと位置づけている。

 2019年の開催は11月27日(水)10時~17時20分、会場は富士ソフトアキバプラザ6Fのセミナールーム1(JR秋葉原駅前)、参加費は3万円+税/1名(テキスト、食事、飲み物付き)となっている。

 今回のテーマは、「IoT新時代を切り開く画期的新デバイス」というものだ。消費電力を飛躍的に下げることが可能なAI向けのMRAMおよびマイコン、リアルタイムにしかも超低コストで実現できるヘルスケア向け脳波センサー、自動車向けで期待されかつ医療などにも展開するSiCパワー半導体、自動走行運転からセキュリティーまでカバーする新画像センサーなどを一気にご紹介申し上げ、かつ熱い議論の場を作りたいと考えている。

 今回は、期せずして、東京大学、大阪大学、東北大学などのアカデミズムのトップを走る教授陣がすべてご登壇されるというサプライズなイベントとなるものである。次の時代に向けて、半導体、電子部品、製造装置、新材料などの研究開発および製品企画を考える方々にとって、このカンファレンスは大きな力になるものと考えている。

 プログラムの詳細は以下のとおり。

10:00~11:00
基調講演1:IoT時代を切り開く画期的な新型デバイスの登場が見えてきた!
(株)産業タイムズ社 代表取締役社長 泉谷 渉

11:00~12:00
基調講演2:グローバルに展開するスーパーセンシングフォーラムの活動(仮)
東京大学大学院工学研究科 機械工学専攻 センシングヒューマニエーションデザイン 社会連携講座 
特任教授 中川 聰

12:00~13:00 昼食および名刺交換

13:00~14:00
エッジデバイス時代の到来で日本企業に追い風!!(仮)
(一社)日本電子デバイス産業協会 代表理事 会長  齋藤 昇三

14:00~15:00
次世代自動車、先端医療に必須なSiCパワー半導体の将来展望(仮)
福島SiC応用技研(株) 取締役副社長/大阪大学大学院 招聘教授 中村 孝

15:00~15:20 コーヒーブレイク

15:20~16:20
近未来のヘルスケアは、サプライズの脳波センサーが支えていく
大阪大学 産業科学研究所 栄誉教授 関谷 毅

16:20~17:20
圧倒的低消費電力を実現するMRAM/マイコンは、AIチップの切り札だ!(仮)
東北大学 国際集積エレクトロニクス研究開発センター センター長 教授 遠藤 哲郎

 最近になって象徴的なことは、2019年度の国内半導体生産ランキングにおいて、ソニーがキオクシア(東芝メモリ)を抜いて初の首位に躍進するのが濃厚になったことである。ソニーの黄金武器ともいうべきCMOSイメージセンサーは、スマホのカメラモジュールとして圧倒的なシェアを持ち、将来は車載向けに一気拡大していく。1台の車にその画像センサーが30個搭載されるというサプライズな予想も出されている。

産業タイムズ社刊「日本半導体50年史より」
産業タイムズ社刊「日本半導体50年史より」
 言い方を変えれば、ニッポン半導体の長い歴史の中で初めてセンサーがメモリーに勝った、という意味でもある。まさにIoT時代を象徴する出来事だと言えるだろう。このよき機会に、筆者は半導体業界で活躍される皆様と深い交流の時を持ち、2020年以降の半導体を語り合いたいと切に思っている。


 (このカンファレンスに関する問い合わせおよび申し込みについては、下記をクリックしてご覧ください。
https://www.sangyo-times.jp/seminarDtl.aspx?ID=333


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 社長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』、(以上、東洋経済新報社)、『これが半導体の全貌だ』(かんき出版)、『心から感動する会社』(亜紀書房)、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
サイト内検索