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第202回

阪急阪神ビルマネジメント(株) クリスタ長堀地下街事務所 統括マネージャー 渋江麻紀夫氏


クリスタ長堀、2年連続で過去最高の売上高
バリエタウンに食の空間形成

2019/10/21

阪急阪神ビルマネジメント(株) クリスタ長堀地下街事務所 統括マネージャー 渋江麻紀夫氏
 大阪メトロの四ツ橋駅、心斎橋駅、長堀橋駅に直結し、4つの路線にアクセスでき、堺筋から四つ橋筋間の全長は730mと日本一長い地下街として知られる「クリスタ長堀」。2016年4月から阪急阪神東宝グループの阪急阪神ビルマネジメント(株)(事務所=大阪市中央区南船場4、Tel.06-6282-2100)がPM業務を担っており、順調に売り上げを伸ばしている。日本人だけでなく、訪日客も多い心斎橋エリアにおいて、どのような施設運営を繰り広げていくのか。統括マネージャーの渋江麻紀夫氏に話を聞いた。

―― 16年から運営を開始している。
オフィスワーカーの利用が多い「クリスタ長堀」
オフィスワーカーの利用が多い
「クリスタ長堀」
 渋江 クリスタ長堀は、従前は別会社にPM業務を委託されていたようだが、契約満了に伴い、プロポーザルで当社が選定され、16年4月から運営を開始した。
 運営するにあたって、当社はクリスタ長堀を独自に分析し、高単価の店舗が揃う点と、4つの路線(御堂筋線、長堀鶴見緑地線、堺筋線、四つ橋線)にアクセスできる点に着目。その一方で、テナントからは「お客様の足が早い」という声を頂戴する機会があり、いかにして通行者を施設利用者に変えていくかがポイントとなった。

―― まず取り組んだのは。
 渋江 16年に多くのテナントが契約満了を迎えたこともあり、デイリー性を高めるため、ファッションタウンに「MUJI com」を導入。同じファッションタウンに「ディーン&デルーカ カフェ」も導入するなど、ネームバリューのあるテナントを誘致したことで、お客様に“通路”としてではなく、“商業施設”として認識していただけるようになった。
 その結果、クリスタ長堀の売上高は、PM業務を引き継いだ16年度こそ88億円と実績を下回ったが、17年度は93億6000万円、18年度は96億3000万円と、2年連続で過去最高の売上高を更新している。

―― クリスタ長堀の強みや弱みを。
 渋江 強みは4つの路線にアクセスできる点で、これらの駅利用者を、施設利用者に変えていくことが重要である。それに対して、弱みは買い回りが期待できない点だ。当施設は東西に730mと長い通路上にあるため、ひとつの施設として捉えられず、お客様が1回の来店で利用いただける店舗が限られてしまう。
 心斎橋エリアは、非常に多くの方が訪れる地域であるが、近年は訪日客の流れが強く、日本人離れが進んでいる地域でもある。しかし、その一方で周辺には梅田地区と遜色ない昼間人口を誇るオフィス密集地区があり、またマンションの建設が相次ぎ、居住人口も徐々に増えている。当施設としては、オフィスワーカーや周辺の居住者など、日本人顧客を大切にしていきたい。

―― 顧客ターゲットについて。
 渋江 オフィスワーカーが中心で、年齢層は20代後半~40代をメーンターゲットに設定している。最近はベビーカーを押す子連れ客も見られるようになったが、心斎橋というエリアのイメージを考えると、大きくは増えないだろう。むしろ、訪日客は個人旅行が増えたことで、落ち着いて買い物したいというニーズが増加し、当施設の化粧品店や飲食店の売り上げが伸びているが、日本人向けを重視する姿勢は変わっていない。

―― テナントの入れ替えは。
 渋江 19年度は8月に物販店の「ビクトリノックス」と、飲食店の「海山」がオープンしており、11月にはウエストタウンに「スターバックスコーヒー」が開店する予定だ。同年度はこれに加えて、バリエタウンで改装を計画している。元々は生活雑貨店や衣料品店といった物販のゾーンとなっていたが、新たに“食”のゾーンを形成する。
 導入するテナントなど詳細は未定であるが、改装する十数区画の一部はイートインスペースとする。このイートインスペースは、周辺の店舗で購入した商品を利用できる仕組みだ。また、各店舗の開口部は、従来のファサードから一部アレンジを加え、和モダンを取り入れた共用意匠を設置する。すでに8月末から改装工事に着手しており、19年冬の開業を目指している。なお、同計画の詳細は10月ごろに発表する予定だ。

―― 近隣では「大丸心斎橋店本館」がオープンした。
 渋江 9月に「大丸心斎橋店本館」がオープンし、21年には「パルコ」が開業するなど、心斎橋エリアに注目が集まるのは良いことだろう。これらの施設とは競合する可能性もあるが、今後は心斎橋エリアを互いに盛り上げていきたい。

(聞き手・岡田光記者)
※商業施設新聞2313号(2019年9月24日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.312

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