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第343回

クラウドマインズジャパン(株) セールス&マーケティングマネージャー 野中耕治氏


クラウドロボットPFを展開
ハードウエアの取り組みも強化

2019/10/4

クラウドマインズジャパン(株) セールス&マーケティングマネージャー 野中耕治氏
 クラウドマインズ(米シリコンバレー、日本法人=東京都港区西新橋2-9-1、Tel.03-6550-9856)は、クラウドロボットオペレーションプラットフォーム「HARIX」などを展開するスタートアップ。独自のソフトウエア技術を中心に、2018年からアクチュエーターや各種ロボット、特殊用途端末などのハードウエア製品も展開している。日本法人であるクラウドマインズジャパン(株)のセールス&マーケティングマネージャー、野中耕治氏に話を伺った。

―― 貴社の概要から。
 野中 15年4月にシリコンバレーで設立したスタートアップで、ロボットとクラウド上のAIをつなぐプラットフォーム「HARIX」を中心に、ブロックチェーン技術を活用したセキュリティーサービスのほか、オリジナルのロボット、アクチュエーター、特殊用途端末などのハードウエア領域まで展開している。出資者にはソフトバンクビジョンファンドやフォックスコンなどが名を連ねている。

―― HARIXの詳細を。
 野中 AIによる画像認識、自然言語処理、グラスピング、モーション動作、遠隔制御など、ロボットを制御するための様々な機能やサービスを備えたクラウド型プラットフォームで、HARIXを利用すると、ロボットに搭載する機能をシンプルにしても高度な作業が可能となる。また、クラウドを使うことで複数台のロボット管理やソフトウエアのアップデートなども容易となり、ロボット間の情報連携やビッグデータ(顧客情報、購買データなど)との連携もできる。

―― そのほかの特徴は。
 野中 HARIXは人間のオペレーターとの共存システムであり、オペレーターはすべてのロボット動作を常に監視し、必要に応じてAIコントロールを無効にする。例えば、AIの回答率が低いときや反応速度が遅い場合、オペレーターがAIに代わってロボットをコントロールする仕組みだ。そして、そのオペレーターの回答などをAIにフィードバックすることで、AIの性能を高めることができる。

―― セキュリティーに関する取り組みは。
 野中 当社ではSDP(Software Defined Perimeter)とブロックチェーン技術を組み合わせたサービスを提供している。このサービスでは、認証のコントローラーを分散化させて、ネットワークをステルス化することができ、ハッカーがノードに対して侵入しようとしても、認証されていない端末からはネットワークアクセスができないシステムとなっている。

―― 貴社はハードウエアも手がけていますね。
 野中 携帯端末型のロボットコントローラーユニット(RCU)などのほか、18年に一体型アクチュエーター「スマートコンプライアントアクチュエーター」(SCA)をラインアップに加えた。サーボモーター、サーボドライブ、減速器、エンコーダーなどを集積し、従来のサーボシステムと同等の性能を維持しつつ、従来サイズの10分の1まで小型化した製品だ。各アクチュエーターにIPアドレスを付与していることから細かい設定が可能で、サイズは最小直径10mmから同100mmまで数十種類を取り揃えている。

―― ロボット製品も展開している。
パトロールロボットも展開
パトロールロボットも展開
 野中 自走式のスクラバー(床洗浄機)型クリーニングロボットやパトロールロボットを提供している。いずれもHARIXを利用しており、パトロールロボットは中国を中心に100台以上が導入されている。そのほか、2月にスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress」で最新型のヒューマノイドロボット「XR-1」を発表した。HARIXやSCAなど当社の技術を融合して開発した人型ロボットで、針の穴に糸を通せる動作精度を有する。

―― 日本での事業展開は。
 野中 当社の中核であるHARIXの提案に加え、そのHARIXの特徴を知っていただくために様々な企業と連携し、HARIXを活用したハードウエアの開発にも取り組んでいければと考えており、クラウドAIやクラウドによるロボット管理などに関心がある方はぜひお声がけいただきたい。また、SCAを活用した製品開発などでも様々な企業や研究機関と連携していきたい。

―― 今後の方針について。
 野中 今後ロボットを様々な領域で活用していくためには、ロボットをクラウド上で管理・制御するシステムが不可欠であり、当社としてはHARIXの性能を高めつつ、グローバルに展開していくことで、ロボット市場の普及・発展に貢献していきたい。さらに、これから5G通信時代において、クラウドロボットはキラー・アプリケーションとして活用できる。そのためにも、セキュリティー、RCU、SCAなど、トータルでの提案力を高めていく。また、HARIXを活用したロボットの採用拡大も図っていき、様々な企業と連携しながら新たなクラウドロボットも創出していき、ロボットが身近なものとなる時代にしていきたいと思う。

(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2019年9月19日号9面 掲載)

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