電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第340回

(株)SCREENホールディングス 代表取締役 取締役社長 CEO 廣江敏朗氏


不況耐性向上に向け改革
彦根新工場を核に生産強化

2019/9/13

(株)SCREENホールディングス 代表取締役 取締役社長 CEO 廣江敏朗氏
 (株)SCREENホールディングス(京都市上京区堀川通寺之内上ル4天神北町1-1、Tel.075-414-7111)では、6月に代表取締役 取締役社長CEOに廣江敏朗氏が就任した。半導体製造装置、FPD製造装置などの主要事業に従事した経験を活かし、より強靭なグループ体制の確立を目指すビジネスモデル転換に乗り出す。業績や市場の見通し、今後の事業戦略について話を聞いた。

―― 足元の業績から。
 廣江 2019年度第1四半期の業績は、売上高が前年同期比19.7%減の582億円、営業損失が同95億円悪化の44億円と赤字となった。半導体製造装置(SPE)は、メモリー向け回復の遅れで計画を下回った。ただ、上期トータルでは巻き返しを見込んでいる。営業損益は、収益改善施策の効果で底堅く推移する。FPD製造装置などのファインテックソリューションズ(FT)は、中国・台湾向け中小型液晶など好採算の案件がずれ込んだため落ち込んだ。第2四半期は回復に向かうが、変動費は厳しい状況が続く見通し。グラフィックアーツ機器(GA)は北米と中国市場の悪化で大きくマイナスとなり、プリント基板関連機器(PE)はスマートフォン(スマホ)投資の停滞が影響して低調だった。

―― 業績予想を下方修正した。
 廣江 上期が期初予想を下回る見通しとなったことを受けて、業績予想を下方修正した。通期の売上高を3270億円から3240億円(前年度比11%減)、営業利益を265億円から250億円(同15.7%減)に見直した。下期は年初計画を維持しており、売り上げ、利益率ともに向上を目指している。
 SPEは第1四半期に600億円の受注を獲得し、第2四半期もそれに匹敵する水準を見込む。一部は19年度内に納入され、業績に貢献する。メモリー向けは回復の遅れから下ぶれするが、台湾ファンドリー向けが拡大しており相殺できる見通し。下期以降は、SPEに加えてPEで5G関連需要の立ち上がりも期待できる。
 FTは第1四半期の受注額が141億円で、有機EL向けを中心に伸長して期初計画を上回った。19年度内にいくつか売り上げ計上できる見通しで、今後の上ぶれにも期待している。

―― SPE、FTの今後の見通しを。
 廣江 メモリー市場は19年度内の回復は期待できず、20年度第1~2四半期を想定する。台湾ファンドリーは5G関連で高水準の投資が続く見通しで、期待している。5Gは半導体に始まって有機EL、プリント基板投資の牽引役になるとみている。ロジックも顧客の投資方針が変わるリスクはあるものの、足元では好調に推移している。200mm以下のウエハーをターゲットにしたフロンティア製品群は、パワーデバイスや車載用センサーなどで活況だ。SPE全体に占める売り上げは100億円レベルで、20~25%で安定的に推移するポストセールスとともに成長させたい。
 FTは10.5Gの大型液晶投資がトーンダウンしており、採算性も良くないことから有機EL重視に方針を転じた。有機ELではバックプレーン製造工程用コーターデベロッパーに加えて、タッチセンサーパネル製造工程用コーターデベロッパー、ポリイミド(PI)コーターラインをセットで提案しており、バックプレーン製造工程用コーターデベロッパー単独の場合と比べて売り上げを約40%上積みできる。
 また、将来の有機EL大型化に向けて、(株)JOLED、パナソニック プロダクションエンジニアリング(株)と共同で世界初となる印刷方式を用いた有機ELディスプレーの量産化技術を開発している。JOLEDを通じて中国向けに技術供与する方針で、20年度の立ち上がりに期待している。
 同じくFTで手がけるエネルギー分野は、リチウムイオン電池(LiB)や燃料電池向けに塗工乾燥装置を製品化している。LiB向けは大手顧客からの採用を獲得し、それ以外からも引き合いが強まるなど裾野が広がってきた。燃料電池向けも、中国のFCバスプロジェクト用などに引き合いが増えている。FT全体に占めるエネルギー分野の売り上げは現状少ないが、自動車の電動化や燃料電池の普及が進む25年ごろには20~30%程度に高めたい。

―― ビジネスモデルの転換を企図している。
 廣江 課題であった不況耐性が弱い構造を克服し、安定したキャッシュフローを生み出せるビジネスモデルへの転換を目指している。18年度にSPEでサプライチェーンの混乱が発生して収益性が大きく悪化しており、19年度はその収束を急いでいる。20年からの次期中期経営計画では、モノづくり改革や人事評価制度の見直しなどを行う方針だ。また、当社は14年に持株会社制度に移行して5年目となるが、部分最適化が行き過ぎている面もある。そこで全体最適化のため事業間の連携などを追求する考えで、具体策を検討している。

―― 新規事業の創出も目指している。
 廣江 新規事業として細胞培養や創薬など医薬分野の製品開発を進めているが、これだけでなく既存事業においても新分野開拓を目指す。FTにおけるディスプレー分野のように、コア技術の応用を進め、事業の裾野の拡大を目指す。また、半導体洗浄装置など強みである分野ではさらなる深化を図る。

―― 彦根事業所(滋賀県彦根市)の新棟を核に生産体制を再構築している。
 廣江 18年11月にFT、19年1月にSPEの新生産棟を完成させた。SPEは18年に特注製品の需要が増大したことがサプライチェーンの混乱につながり、コストが肥大して利益を圧迫した。この反省から、新棟ではカスタム部分を最小限に抑制した標準モデルと特注モデルの生産ラインを完全に分割した。ラインの混乱を防止し、製品ミックスが変化しても影響が出にくいようにする。
 FPD製造装置は従来、中国向けの組立はアウトソーシングしていた。しかし技術流出のリスクがあったことから、19年6月に常熟市に生産拠点を設けて自社で管理する体制に切り替えた。彦根のFT新棟ではコア部材のコーターを内製化し、ブラックボックス化を進める。

(聞き手・中村剛記者)
(本紙2019年9月12日号10面 掲載)

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