電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第345回

黒部の超軟水を使用し、短時間高温殺菌の包装米飯はすごい


~富山県入善のウーケはクラス100のクリーンブースでパーティクル管理~

2019/8/9

 「ある大手コンビニエンス・ストアで売られている包装米飯はすべてウーケが作っている。2010年5月にはベルギーのブリュッセルにおいて、国際味覚審査機構がウーケのごはんを優秀味覚賞として2つ星を授けてくれた。ポイントは何といっても、パーティクルのほとんどでないクラス100のクリーンブースによる工場管理がモノをいっている」

(株)ウーケ 代表取締役社長 舩木秀邦氏
(株)ウーケ 代表取締役社長 舩木秀邦氏
 しっかりとした目線でこう語るのは、(株)ウーケ(富山県下新川郡入善町下飯野232-5)で代表取締役社長の任にある舩木秀邦氏である。舩木氏は1998年にウーケの親会社である(株)神明(現(株)神明ホールディングス)に入社し、営業本部、品質管理部、ロジスティクスなどを経て2017年6月にウーケを陣頭指揮する現在の立場になった。ちなみに、舩木氏が入社した当時の神明に比べて現在は10倍以上の規模になっており、グループ全体では2500億円を売り上げているという。

 ウーケの本社のある富山県入善町は水がきれいなことで知られている。ウーケは全商品の炊き水に日本名水100選にも選ばれた「黒部川扇状地湧水群」の地下水を使用しており、塩素すら添加しない「無添加」がまさにストロングポイントとなっている。また、隣接する深層水パークの海洋深層水とウーケ工場の排熱を熱交換し、CO2削減にも全力を挙げている。

 ウーケの包装ごはんは、かなりの空気清浄度であるクラス100をクリアするクリーンブースによって厳しく管理している。電子レンジの2分の加熱でふんわりとした食感、炊き立てごはんの香りを賞味できる。短時間高温殺菌を行うことで、うまみを逃がさない。無菌であるからして、常温で保管でき、10カ月間は全然大丈夫というご飯である。

 「2017年度における包装米飯市場は618億円となっているが、このうち無菌包装米飯市場は265億円である。ウーケの国内シェアは第4位であり、17.7%を持っている。当社は2007年11月に設立された新興カンパニーであるからして、歴史の古さはない。積極的な設備投資で一気に生産能力を増やしているため、マーケットシェアはぐんぐん上がっていくことになるだろう」(舩木社長)

 ウーケは38億円を投じて、この春に第3ラインを立ち上げた。この生産能力は日産14万食であり、これまでの28万食の半分にあたるほどの規模を増設した。パックごはんの数でいえば、1億2000万パックをたった1年で作れるのだ。さらに近い将来には、第3ラインと同規模の第4ライン建設も計画している。現状の売り上げは50億円程度であるが、まずは100億円を突破することが第一目標であるという。

 農林水産省は日本の良質な米の輸出に全力を挙げている。この方針に沿って、ウーケもまた輸出に注力しており、海外への販売100万食/年をまずは達成していきたいという。最近の消費者調査では、週に1回以上パックごはんを食べている人がなんと26%もおり、備蓄用だけでなく日常的なものとしての需要が広がっている。

 「ただ、米の需要そのものは、少子高齢化と食の多様化が進んだことで、昭和36年に比べると主食としての米は半分くらいになっており、言ってみれば衰退している。ところが、アジアの人たちは日本のおいしい米を評価している。それゆえに国内需要より海外需要はまだまだ伸びしろがあると見ており、ウーケも中国、香港、シンガポール、ベトナム、米国にまで販路を広げ、“安心、安全で良食味な日本のお米”をグローバルなものに持っていこうとしている」(舩木社長)

 ちなみに、かつて半導体は「産業の米」と呼ばれた。コンピューターから家電に至るまで、あらゆるエレクトロニクス製品は半導体の進展なしには拡大しなかったからだ。今日にあってもIoT革命のハード面のコアを担うのはメモリーであり、センサーであり、CPUであり、アナログであり、パワーデバイスであり、ただひたすらに半導体が担っていると言ってよい。日本人にとって一番大切なものとしてのお米を半導体になぞらえた昔の人たちは、まことに慧眼であったと言ってよいだろう。

 「お米を食べると太る」などという人をたまに見かけるが、それは全く間違っていると思う。米は脂肪が少なく、しかも少量で腹持ちがよく、場合によってはおかずがなくても海苔を巻いただけで食べられる、というすごいメリットがある。ウーケは今後も全力を挙げて、半導体工場や医薬品工場にもたとえられるくらいの空気清浄度で勝負する絶品の米を、世界に向かって供給していくつもりだ。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 社長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』、(以上、東洋経済新報社)、『これが半導体の全貌だ』(かんき出版)、『心から感動する会社』(亜紀書房)、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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